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アロン・エデル&バンド

2015.06.15

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イスラエル最大級の都市であるテルアビブは、地中海に面した温暖な土地柄もあって、リゾート地としての開発も進んでいる。アメリカのサンフランシスコと通じる雰囲気を持つこの街にも、サーフ・カルチャーが根付いているという。以前、本サイトのコラムでも触れたことがあるBOOM PAMのようにサーフ・ロックと中東の音楽をミクスチャーしたユニークなバンドも生まれているが、その一方で1970年代から英米のロック/ポップスに影響を受けたミュージシャンの系譜も現在まで続いているようだ。

1983年にテルアビブに生まれたアロン・エデル。1970年代にロックバンドのギタリストとして活動していた父親と、女優とて活躍した母の元に生まれた彼は、買い与えてもらったカシオトーンで幼い頃から作曲をはじめていたという。その後、音楽活動を開始し、映画や演劇の音楽を手がけ、2010年には自身の名前を冠したデビュー・アルバムを発表。以降バンド・スタイルでの作品や、カシオトーンだけで制作したEPなどを発表し、2014年にアロン・エデル&バンドとして『Summary of Life So Far』を発表。収録曲である「ちょっとの愛なら傷もつかない(A little bit of love won’t do no harm)」はイスラエル国内でヒットとなり、一気に知名度を上げた。

ジョン・レノンやニール・ヤング、ヴァン・モリソン、ポール・サイモンなどに影響を受けたというアロン・エデル。パーソナルな愛情に満ちたあたたかい肌触りを感じさせつつも、時折心が張り裂けんばかりの切迫感が表出する彼の歌声には、ジョン・レノンの影を感じさせる。ストリングスやホーンを取り入れた重層的なアンサンブルは、どこかサイケデリックな色彩が滲む。それはまるで強い日射しに照り付けられながら次第に意識がトリップしていく、白日夢のようなサウンドだ。

様々な問題を抱えるイスラエルという国だが、その中でこれほどにも美しくドリーミーで切実なポップ・ミュージックが生まれてくる現実と必然──だから音楽は面白く、逞しい。


アロン・エデル&バンド『Summary of Life So Far』

アロン・エデル&バンド
『Summary of Life So Far』

(Tuff Beats/SPACE SHOWER MUSIC)


offical website
http://www.tuff-beats.com/artists/alon.html (日本盤発売元レーベル)
https://www.facebook.com/alon.eder

アロン・エデル&バンド「ちょっとの愛なら傷もつかない」 MV

アロン・エデル&バンド「未来」 MV

アロン・エデル&バンド「少年達の季節」 Audio

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