2013年11月21日、アメリカのケーブル局VH1主催のコンサートで、ある興味深いコラボレーションが実現した。ハイムとロード。昨年の音楽シーンにおいて、ともに大きな躍進を果たした女性アーティストがステージ上に揃って、シェリル・クロウの1995年のヒット曲「Strong Enough」をカバーした。もしかするとこの共演は、後に伝説のセッションとして語られることになるかもしれない。それほどに、この二組に寄せられる期待は世界中で高まっている。
Lorde & Haim「Strong Enough(Sheryl Crow cover)」(Live)
ミドルティーンの頃には、長女エスティと次女ダニエルはガールズ・バンドにも参加。ダニエルは個人としてジュリアン・カサブランカス(ストロークス)やジェニー・ルイスのツアー・メンバーに抜擢されるなど、ミュージシャンとしての実力も認められている。2012年、インディーズからデビューEP『Forever』を発表すると瞬く間にメディアから注目を集め、同年9月にはメジャー・デビュー・アルバム『Days Are Gone』をリリース。全英アルバム・チャートで首位を獲得し、アメリカやオーストラリア、アイルランドでもトップ10入りを果たした。
ファッション・アイコンとして同世代の女性たちに愛されそうなルックスながら、ロック・バンド然とした骨太のパフォーマンスを魅せてくれるハイム。彼女たちが聴いて育ったルーツ音楽から、ニュー・ウェイヴや80’sポップ、さらにはヒップホップやダンス・ミュージックを通過した最新のポップスまでを自由に行き来しながら、オリジナルなスタイルを打ち出しているハイム。マムフォード&サンズやヴァンパイア・ウィークエンドなど、同時代に活躍する人気バンドとも気軽に共演する隣のおネェちゃん的なフランクさも、彼女たちの魅力と言える。
ロードことエラ・マリア・ラニ・イェリッチ=オコナーは、ニュージーランド出身、現在17歳のシンガー・ソングライター。幼い頃からニール・ヤング、キャット・スティーヴンス、ザ・スミス、エタ・ジェイムスなどの60年代・70年代の音楽に親しみ、また詩人として活動していた母の影響からアレン・ギンズバーグ、レイモンド・カーヴァーなどを読み漁る少女だったという彼女は、13歳ごろから自ら歌を書きはじめる。
才能の種を早々に見出された彼女は、13歳でユニバーサル・ミュージックと契約。プロデューサー/ソングライターのジョエル・リトルとともに創作活動を行い、表現を開花させていく。2012年11月にEP『The Love Club EP』をSoundCloudで発表すると6万フリーDLされたという。その『The Love Club EP』からのデビュー・シングル「Royals」は、彼女の歌声による多重録音のハーモニーと、ほとんどビートのみで構成されたシンプルなトラックが不思議な中毒性を持つ楽曲。この曲がニュージーランドで初登場1位を獲得し、全米シングル・チャートで9週連続1位を記録。また全英シングル・チャートでも初登場1位となった他、84の国・地域のiTunesでTOP10入りするなど、ロードの音楽はまたたく間に世界に広まった。
2013年9月にリリースされた『Pure Heroine』は、彼女のアンニュイな歌声とティーンエイジャー特有のシニカルさが匂う歌詞、エレクトロニカやダブステップなどの影響を感じさせるミニマルなサウンドと親しみやすいメロディーがナチュラルに同居した、独特な魅力を感じさせるアルバムに仕上がっている。1月26日(日本時間1月27日)に発表となるグラミー賞では、「Royals」が年間最優秀レコード、年間最優秀楽曲を含む4部門にノミネートされたロード。17歳の少女は、ますます大きな注目を集めることだろう。
Haim official website
http://www.universal-music.co.jp/haim/
http://haimtheband.com/
Lorde official website
http://www.universal-music.co.jp/lorde
http://lorde.co.nz/
Haim「The Wire」MV
Haim「Don’t Save Me」MV
Lorde「Royals」(Live On Letterman)
Lorde「Tennis Court」MV