TAP the NEWS

ガーランド・ジェフリーズの名盤〜ニューヨークで生まれた混血アーティストによる“80’sストリートロック”の金字塔〜

2017.09.02

Pocket
LINEで送る


ニューヨークのブルックリンが生んだシンガーソングライター、ガーランド・ジェフリーズをご存知だろうか?
1943年、黒人と白人のハーフの父親とプエルトリカンの母親との間に誕生した彼は今年で73歳を迎えた。
ブルース、ロック、ソウル、フォーク、ジャズ、レゲエなどなど…血も生まれ育った環境も含め、彼の音楽はまさに“人種の坩堝(るつぼ)”を体現しているかのようである。
今日は、そんな彼の作品の中でも“名盤”と言われているアルバム『Escape Artist』(1981年リリース)にスポットをあてます♪
まずは同作をリリースする際に、本人が語った言葉をご紹介します。

「このアルバムは、私のレコーディングキャリアの中でもハイライトの一つと言えるだろう。
私にとって大事なのはとても単純なこと。
それは「歌」と、素晴らしい「ミュージシャン」だ。
このアルバムに参加してくれたルー・リード、リントン・クェシ、デニス・ボーヴェル、ウィア・リンド、スティーヴ・グールディング、アンドリュー・ボドナー、マイケル・ブレッカー、ダニー・フェデリッチ、ロイ・ビタン、ビッグ・ユース、G.E.スミス…まったく、なんて顔ぶれだ!
こういうメンバーとリハーサルして、ニューヨークとロンドンでテープに吹き込んだ。
このアルバムの曲はどれも本当に生き生きした感じになった。
まるで生きた人間、現実の風景のよう、力一杯に、生の歌声があふれている。
しかも、ミックスはボブ・クリアマウンテンときてる!
すごく満足できた完璧なアルバムだ!」



本人による紹介文に付けくわえると本作には、エフェクティヴなプレイで当時最も革新的なギタリストだったエイドリアン・ブリュー、マイケル・ブレッカーの兄のランディ・ブレッカー、さらにはニューヨーク・ドールズのデビッド・ヨハンセンやトーキング・ヘッズとの活動でも知られるノーナ・ヘンドリックスなども参加している。
特にリントン・クェシ・ジョンソン、デニス・ボーヴェルといったダブ関係のミュージシャンの参加はかなりの注目と期待を集め、当時の音楽関係者からは同時期に大活躍していたザ・クラッシュの名盤『Sandinista!』(1980年)の“ポップ版”といったような紹介のされ方もしていたらしい。
 

かつて70年代から80年代にかけて、ブルース・スプリングスティーンを筆頭に“ストリートロック”というジャンルがカテゴライズされつつあった。
そんな中で、彼はまさに“裏の主役”として頭角を現していた。
その経歴を振り返ると…彼は1960年代後半にGrinder’s Switchというバンドでキャリアをスタートさせている。
その後、彼は大学時代に知り合ったルー・リードとの再会をきっかけに1973年からソロ名義に転身してアトランティックレコードと契約を結ぶ。
だが、残念なことにしばらくの間はまったくと言っていいほどヒットには恵まれなかった。
このアルバムの前作にあたる『American Boy & Girl』(1979年)に収録されていた「Matador」という曲がヨーロッパで大ヒットしたことを受けて、彼が真剣にコマ-シャルな成功を得ようと試みるようになる。


アルバム『Escape Artist』には、スプリンクスティーンが率いたE.ストリートバンド(ロイ・ビタンとダニー・フェデリッチ)やルーモア(グラハム・パーカーのバンド)のメンバー、そしてルーリードも参加している。
そして共同プロデューサーはボブ・クリアマウンテン(ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、スプリングスティーン、ロキシー・ミュージック、キッス、ボンジョヴィなどヒット作のミックスを手がけて圧倒的な才能を示したサウンドエンジニア)ということからも“売ろう”という狙いは感じる。
当時、ある音楽評論家からは「エルヴィス・コステロのようなサウンド」と評された作品だが、“サウンドの方向性”として意識していたことは確かだろう。
結果、彼のキャリアの中では一番のリアクションを得るのだが…レコード会社が望んでいたレベルには達していなかったという。



ちなみに4曲目に収録されている「96 Tears(96粒の涙)」 は、アルバム中ほとんどが自作曲である中、Question Mark & The Mysteriansが1966年にヒットさせた楽曲のカヴァーである。
奇しくも、彼にとって唯一のチャートインシングルとなり、1981年に最高66位を記録した。


そして、白眉は何と言っても7曲目の「R.O.C.K.」 だろう。
美しく繊細なロイ・ビタン(E.ストリートバンド)のピアノに絡むダイナミックな演奏が、80年代の音楽シーンを席巻した “ストリートロックの衝動”の記憶を、まるで昨日のことのように蘇らせてくれる。


ガーランド・ジェフリーズ『Escape Artist』

ガーランド・ジェフリーズ『Escape Artist』

(Sony Music Entertainment)


◎来日公演情報【14 Steps To Harlem Tour】
ビルボードライブ東京
10/11(水)1stステージ開場17:30 開演19:00/2ndステージ開場20:45 開演21:30
チケット購入など詳しくはこちら

(この記事は2016年8月14日に初公開されました。)

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

[TAP the NEWS]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑