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ガーランド・ジェフリーズの名盤〜ニューヨークで生まれた混血アーティストによる“80’sストリートロック”の金字塔

2021.04.20

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ニューヨークのブルックリンが生んだシンガーソングライター、ガーランド・ジェフリーズをご存知だろうか?
1943年、黒人と白人のハーフの父親とプエルトリカンの母親との間に誕生した彼。
ブルース、ロック、ソウル、フォーク、ジャズ、レゲエなどなど…血も生まれ育った環境も含め、彼の音楽はまさに“人種の坩堝(るつぼ)”を体現しているかのようである。
今日は、そんな彼の作品の中でも“名盤”と言われているアルバム『Escape Artist』(1981年リリース)にスポットをあてます♪
まずは同作をリリースする際に、本人が語った言葉をご紹介します。

このアルバムは、私のレコーディングキャリアの中でもハイライトの一つと言えるだろう。私にとって大事なのはとても単純なこと。それは「歌」と、素晴らしい「ミュージシャン」だ。このアルバムに参加してくれたルー・リード、リントン・クェシ、デニス・ボーヴェル、ウィア・リンド、スティーヴ・グールディング、アンドリュー・ボドナー、マイケル・ブレッカー、ダニー・フェデリッチ、ロイ・ビタン、ビッグ・ユース、G.E.スミス…まったく、なんて顔ぶれだ!こういうメンバーとリハーサルして、ニューヨークとロンドンでテープに吹き込んだ。このアルバムの曲はどれも本当に生き生きした感じになった。まるで生きた人間、現実の風景のよう、力一杯に、生の歌声があふれている。しかも、ミックスはボブ・クリアマウンテンときてる!すごく満足できた完璧なアルバムだ!


本人による紹介文に付けくわえると本作には、エフェクティヴなプレイで当時最も革新的なギタリストだったエイドリアン・ブリュー、マイケル・ブレッカーの兄のランディ・ブレッカー、さらにはニューヨーク・ドールズのデビッド・ヨハンセンやトーキング・ヘッズとの活動でも知られるノーナ・ヘンドリックスなども参加している。
特にリントン・クェシ・ジョンソン、デニス・ボーヴェルといったダブ関係のミュージシャンの参加はかなりの注目と期待を集め、当時の音楽関係者からは同時期に大活躍していたザ・クラッシュの名盤『Sandinista!』(1980年)の“ポップ版”といったような紹介のされ方もしていたらしい。
 

かつて70年代から80年代にかけて、ブルース・スプリングスティーンを筆頭に“ストリートロック”というジャンルがカテゴライズされつつあった。
そんな中で、彼はまさに“裏の主役”として頭角を現していた。
その経歴を振り返ると…彼は1960年代後半にGrinder’s Switchというバンドでキャリアをスタートさせている。
その後、彼は大学時代に知り合ったルー・リードとの再会をきっかけに1973年からソロ名義に転身してアトランティックレコードと契約を結ぶ。
だが、残念なことにしばらくの間はまったくと言っていいほどヒットには恵まれなかった。
このアルバムの前作にあたる『American Boy & Girl』(1979年)に収録されていた「Matador」という曲がヨーロッパで大ヒットしたことを受けて、彼が真剣にコマ-シャルな成功を得ようと試みるようになる。


アルバム『Escape Artist』には、スプリンクスティーンが率いたE.ストリートバンド(ロイ・ビタンとダニー・フェデリッチ)やルーモア(グラハム・パーカーのバンド)のメンバー、そしてルーリードも参加している。
そして共同プロデューサーはボブ・クリアマウンテン(ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、スプリングスティーン、ロキシー・ミュージック、キッス、ボンジョヴィなどヒット作のミックスを手がけて圧倒的な才能を示したサウンドエンジニア)ということからも“売ろう”という狙いは感じる。
当時、ある音楽評論家からは「エルヴィス・コステロのようなサウンド」と評された作品だが、“サウンドの方向性”として意識していたことは確かだろう。
結果、彼のキャリアの中では一番のリアクションを得るのだが…レコード会社が望んでいたレベルには達していなかったという。



ちなみに4曲目に収録されている「96 Tears(96粒の涙)」 は、アルバム中ほとんどが自作曲である中、Question Mark & The Mysteriansが1966年にヒットさせた楽曲のカヴァーである。
奇しくも、彼にとって唯一のチャートインシングルとなり、1981年に最高66位を記録した。


そして、白眉は何と言っても7曲目の「R.O.C.K.」 だろう。
美しく繊細なロイ・ビタン(E.ストリートバンド)のピアノに絡むダイナミックな演奏が、80年代の音楽シーンを席巻した “ストリートロックの衝動”の記憶を、まるで昨日のことのように蘇らせてくれる。


ガーランド・ジェフリーズ『Escape Artist』

ガーランド・ジェフリーズ『Escape Artist』

(Sony Music Entertainment)






こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。





【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”春夏】


5月1日(土)岡山Desperado 
5月2日(日)島根(出雲)Bar Soul  
5月3日(月・祝)鳥取(米子)シンワンメイク
5月4日(火・祝)昼-鳥取(米子)スナックCandy  
5月4日(火・祝)夜-鳥取(米子)押口ガレージ
5月8日(土)山口(下関)T-Gumbo 
5月9日(日)福岡(みやま)柿原酒店 
5月16日(日)茨城(水戸)音食座敷 開化亭
5月22日(土)青森Be on cafe 222  
5月23日(日)盛岡FEELGOOD 
5月28日(金)京都 夜想
5月29日(土)兵庫(宝塚)IL grazie
5月30(日)八幡DELSOL café
6月5日(土)広島OK鉄板
6月6日(日)佐賀LIVE BAR雷神 
6月12日(土)埼玉(新座)エアストリームカフェ
6月13日(日)新潟(三条)Gallery Bar Veronica 
6月25日(金)群馬(前橋)Cool Fool 
6月26日(土)東京(高円寺)MOONSTOMP
6月27日(日)埼玉(川越)大黒屋食堂  
7月3日(土)田川Diamond Moon
7月4日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis 
7月6日(火)福岡(薬院)遊来友楽 
7月10日(土)熊本(八代)bar 7th chord
7月11日(日)山口(柳井)みんなの広場 Live Village 
7月16日(金)蒲郡Chot Bar VOODOO LOUNGE
7月17日(土)名古屋 喫茶ニューポピー 
7月18日(日)浜松(弁天島)LIVE & DISCOマルガリータ 
7月24日(土)群馬(渋川)Casa Midori 
7月29日(木)仙台 ホームラン酒場
7月30日(金)岩手(宮古)カントリーズcafe
7月31日(土)岩手(二戸)HOUSE OF PICNIC 
8月1日(日)秋田(能代)ハックルベリー 
8月3日(火)小郡 ジラソーレ 
8月7日(土)群馬(下仁田)otenki食堂
8月21日(土)久留米 農と音
8月22日(日)山口(萩)玉ネギ畑  
8月23日(月)東広島pasta amare
8月27日(金)福岡 Bassic. 
8月28日(土)LIVE BAR雷神
8月29日(日)大牟田 陽炎


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12660274732.html




新作ミニアルバム『You』のタイトルナンバー「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
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【佐々木モトアキ プロフィール】
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http://www.tapthepop.net/author/sasaki


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