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「TAP the COLOR」連載第126回
50年代にティーンエイジャーが熱狂するロックンロールが産声を上げた時も、60年代にロックが若者社会と反体制とシンクロした時も、70年代に高度に技術化/産業化したロックを否定してシンプルに回帰したパンクが登場した時も、80年代にヒップホップが新しい表現手段となった時も、90年代にクランジが真のロックを復権させた時も、“歴史的な録音”はいつも密かに行われていた。
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ザ・クラッシュ『The Clash』(1977)
ザ・クラッシュの原点であり、UKパンク永遠の名盤である彼らのデビュー作。数ある緑色のジャケットの中でも一度見たら忘れられないインパクト。中に詰まった荒々しい音はまさにDIY精神に貫かれたガレージサウンドそのもの。一気に聴ける全14曲が並ぶ。選曲の違うUS盤もあるので要注意。
(こちらもオススメです)
ルード・ボーイ~ザ・クラッシュの熱いガレージサウンドと心に響く「Stay Free」
エルヴィス・コステロ『My Aim Is True』(1977)
パブ・ロック・シーンで活動していたコステロが、パンクの衝動を吸収消化して放ったスティッフからの伝説的なデビュー作。記念すべき40年キャリアの序章。バックを務めるのはアメリカのバンド、ザ・クローヴァー(ヒューイ・ルイス在籍)だけあって、アメリカンなテイストも感じられる英国パワーポップ。「Alison」は当時のAORより甘く切ない極上の仕上がり。
『No New York』(1978)
NYアンダーグラウンドに呼吸していた真の先鋭的アーティストたちをブライアン・イーノがプロデュースした、これぞ歴史的録音。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド以後/ソニック・ユース以前の、コマーシャリズムとは一切無縁の音たちの競演。パンクを語ろうとする時、絶対に忘れてはならない1枚。
チャック・ベリー『After School Session』(1957)
時代を1950年代に戻してこの1枚。黒人のダンススタイルの一つだったロックンロールを、台頭したティーンエイジャーの必要不可欠な空気として永遠の8ビートに刻んだチャック・ベリー。その影響力は今更書き連ねること自体が野暮というもの。「ロックンロールとは何だったかのか?」と迷った時、即答してくれるアルバム。
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