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ビリー・ギボンズ──ZZトップの中心人物が、47年目にして完成させた初ソロ・アルバム

2016.02.16

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テキサスが産んだ世界的ロック・バンド、ZZトップ。その中心人物であるギタリスト/ボーカルのビリー・ギボンズが、45年を超えるキャリアで初となるソロ・アルバム『Perfectamundo』を完成させた。

ZZトップは、1969年の結成以来メンバーチェンジも行うことなく活動してきたが、ビリー・ギボンズはZZトップ以前に〈ムーヴィング・サイドウォークス〉というガレージ・サイケ・バンドを組んでいた(ジミ・ヘンドリクスの前座を担当した時、ジミがビリーのギターを絶賛したというのも有名な話)。そのサイケ・バンドでの活動期に、マンボの王様ことティト・プエンテからティンバレンスをはじめとするパーカッションを教わり、ラテンのリズムを叩き込まれていたのだそう。

その後、ブルースやブギーを基調としたロック・バンドとして、ZZトップはスターダムを上り詰めていくわけだが、今回発表されたビリーのソロ・アルバムは、彼の二つのルーツであるブルース・ロックとアフロ・キューバン・ミュージックを融合させたような音楽性といえる。

海外のオリジナル表記は〈Billy Gibbons And The BFG’s〉となっている通り、ビリーを中心にハモンド・オルガンやパーカッションを含む5人編成のバンドとして作られていった本作。ダウン・テンポのラテン・ロックに仕立てたカバー「Got Love If You Want It」(スリム・ハーポ)に幕を開けるが、ストレートに中南米音楽とブルース・ロックを掛け合わせたようなものにならないのが、ビリー・ギボンズらしいところといおうか。80年代以降のZZトップが(新しもの好きのビリーの影響もあって)シークエンスやシンセ・サウンドを多用しヒップな時代性を取り入れたバンド・サウンドを提示していたように、本作においてもヒップホップやオルタナティヴ・ロックからの影響を感じさせるカットアップやサウンド処理が施されることで、どっしりと腰の座った(悪そうな音色の)バンド・サウンドはさらに凄みを増し、なんとも言えないルードなセンティメントを匂わせている。カルロス・サンタナともロス・ロボスとも、また違ったアプローチでロックとラテンを融合させた傑作を送り出したビリー・ギボンズ。66歳にして、この柔軟なセンスとクリエイティビティには脱帽だ。


ビリー・ギボンズ『Perfectamundo』

ビリー・ギボンズ
『Perfectamundo』

(Concord Records/ユニバーサルミュージック)



official website
http://www.universal-music.co.jp/billy-gibbons
https://www.facebook.com/BillyFGibbonsOfficial/
http://www.zztop.com/

ビリー・ギボンズ「Treat Her Right」 MV
ビリー・ギボンズ「Got Love If You Want It」 Audio
ビリー・ギボンズ「Baby Please Don’t Go」 Audio

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