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ASA-CHANG&巡礼──世界各国で評価を集める鬼才ユニット、7年ぶりの新作で表現するいびつな美しさ

2016.03.29

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東京スカパラダイスオーケストラの創設者でありリーダーとして活動していた、パーカッション奏者のASA-CHANG。彼がバンド脱退後、1997年にソロユニットとして始動したのが〈ASA-CHANG&巡礼〉だ。

2000年にタブラ奏者のU-zhaanが加入してからは、浦山秀彦(プログラミング、ギター)との3人編成となり、インドの伝統的な打楽器=タブラを主体としたトライバルなサウンドと、緻密に構築されたアブストラクトな電子音楽とが融合した独自の表現を展開。「花」(2001年)は、細かくチョップされたボーカルの斬新な響きは大きな衝撃を与え、ヨーロッパをはじめ世界各国で高い評価を集めた。また、小泉今日子をフィーチャーした「背中」(2004年)のミュージックビデオや、2009年に開催された音楽×ダンス公演『JUNRAY DANCE CHANG』など、コンテンポラリーダンスとリンクしたパフォーマンスを展開させ、話題となった。

ASA-CHANG&巡礼「花」 MV

ASA-CHANG&巡礼「背中」 MV


2012年にサックス奏者の後関好宏(stim、在日ファンク、WUJA BIN BIN他)と、バイオリン奏者の須原杏が新メンバーとして加入し、新生ASA-CHANG&巡礼としてふたたびスタートをきった彼らは、アニメ『惡の華』のEDテーマ(「花」のセルフリメイクver.)を提供。また映画『合奏』(2015年)の音楽を担当し、これまでASA-CHANG&巡礼を知らなかった層までも巻き込むような活動を展開する一方、漫画家・押見修造や、映像作家・勅使河原一雅など異ジャンルのクリエイターとのコラボレーションをライブで繰り広げる『アウフヘーベン!』を開催。音楽だけに収まりきれない表現を次々に見せていく。

7年ぶり6枚目のアルバムとなる『まほう』も、既存の枠にとらわれないその表現をさらに深く掘り下げたような作品だ。コーネリアス、ANI(スチャダラパー)、20歳の若さで夭折したボカロPの椎名もたらをゲストに迎えた本作でとくに耳を奪うのは押見修造とのコラボレーションから生まれた「まほう」。吃音症の女の子を主人公にした短編漫画「志乃ちゃんは自分の名前を言えない』のセリフを歌詞に引用し、ASA-CHANG&巡礼の過去の楽曲にも見られたボーカル・チョップで表現する主人公の苦悩と、後関によるボーカル・パートで歌われる夢や希望の対比にハッとさせられる。

また須原がボーカルをとる「告白」は、勅使河原一雅のHPにも掲載されているプロフィールを、ほぼそのまま引用した異色の楽曲。およそプロフィール文とは思えない波乱万丈な人生を綴った文章が変則的なリズムに細切れにされながら、次第にメロディを帯びていくと、人間の生命力や創造力の力強さといったようなものが感じられてくるのが不思議だ。

フューチャリスティックでありながらどこか懐かしい情景を呼び起こし、無機質なようで強烈な生の匂いを感じさせるASA-CHANG&巡礼の音楽──そのいびつな美しさもやはり、既存の言葉では表現しきれないものなのだ。



*映像作家・勅使河原一雅(qubibi)が手がけた「告白」MVサイト。PCまたはMacから閲覧できます。
http://junray.com/kokuhaku

ASA-CHANG&巡礼『まほう』

ASA-CHANG&巡礼
『まほう』

(P-vine)


ASA-CHANG&巡礼 official website
http://junray.com/


ASA-CHANG&巡礼「告白」 MV
ASA-CHANG&巡礼「まほう」 LIVE


Live Schedule
commmons10 健康音楽

4月8日(金)〜10日(日)東京・恵比寿ザ・ガーデンホール&ルーム 他
※ASA-CHANG&巡礼の出演は4月9日(土)になります。

詳しくは ASA-CHANG&巡礼 official websiteをご確認ください。

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