TAP the SCENE

ランナウェイズ〜平均年齢16歳で男社会に殴り込みをかけた伝説のガールズバンド

2016.08.17

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私たちは地獄のような苦しみを味わって、音楽業界で女の子たちが楽にやっていけるようにしようとした。兵士みたいに血まみれになって戦って、ボコボコにされたけど、今こうしてここにいる。(シェリー・カーリー)


1975年、ロサンゼルス。16歳のジョーン・ジェットはスージー・クアトロとギターに恋していて、ロックスターになることを夢見ている。だが、ロックはまだまだ男たちのイメージが強く、少女だというだけでギター教室はエレキギターの弾き方さえ教えてくれない。そんなある夜、行きつけのクラブで敏腕プロデューサーのキム・フォーリーと知り合う。キムはジョーンを見て「女の子だけのバンド」が商売になることを思いついた。

一方、15歳のシェリー・カーリーは双子の姉と「普通で可愛い女の子」の日々を送っている。だが、歌うこととデヴィッド・ボウイの物真似が大好きなシェリーはLA郊外の学校では浮いた存在。母親が男を作り、父親は酒浸りで家にも帰ってこないことにも、思春期の少女の心は揺れていた。そんなある夜、行きつけのクラブでキムにスカウトされてジョーンを紹介される。こうしてランナウェイズは始動した。

1970年代半ば〜後半にかけて、日本でも熱狂的な人気を博したガールズバンド、ランナウェイズ。メンバー全員が10代の女の子で、デビュー当時平均年齢16歳ということでも話題になり、来日公演や番組出演や雑誌の取材をはじめ、追っかけのファンたちに追い回され続けるという、本国アメリカとは比べものにならないくらいスーパースターだった5人組。

シェリー・カーリー/Vo
ジョーン・ジェット/G&Vo
リタ・フォード/G
ジャッキー・フォックス/B
サンディ・ウェスト/Ds


映画『ランナウェイズ』(The Runaways/2010 )は、そんな彼女たちの出逢い、ロックスターの夢の実現、歪んだ音楽ビジネスとの葛藤、そして自分の人生を見つけようとするまでを描いたリアルなストーリーだ。

シェリー・カーリーの自伝『ネオン・エンジェル』を原作に、ジョーン・ジェットが監修。シェリーをダコタ・ファニング、ジョーンをクリステン・スチュワートが演じた。二人の若手女優は役作りのために本人たちに付き添い、クリステンは歌やギター演奏や言い回しなど、ジョーン本人が間違えるほど見事になりきった。

メンバーが揃ったランナウェイズは、トレーラーの中で練習しながら、アメリカを巡るツアーに出る。道中、嫌がらせや馬鹿にされながらも評判を上げていき、遂にマーキュリー・レコードとの契約に成功。シェリー加入オーディション時に彼女が歌う曲がなかったという理由でその場でジョーンとキムが作った「Cherry Bomb」で1976年にデビュー。

1977年。日本での人気は狂乱で、ロックスター扱いに酔いしれる彼女たちだったが、すでにメンバーやプロデューサーの関係が悪化。ランジェリー姿でステージに登場したり、グラビア撮影に応じるシェリーに、ジョーンは色物扱いされることを懸念する。シェリーは家族の問題もあり、酒と薬に溺れるしかなかった。

アメリカに戻ったシェリーは疲労困憊で、レコーディングにも身が入らない。双子の姉に迷惑をかけてばかりで、まともな生活に戻りたいと強く自己嫌悪する。「家族と一緒にいたい。自分を取り戻したい」というシェリーに対し、「音楽がすべて。バンドが家族そのものよ」と言うジョーン。二人の溝は埋まることなく、シェリーはバンドを脱退するが……。

ランナウェイズは、4枚のオリジナルアルバムと日本でのライヴを収録した『Live in Japan』を残して1979年に解散。シェリー・カーリーはその後、ソロアルバムや双子の姉妹でレコードを出したりするが、現在は女優や彫刻家として活動。

ジョーン・ジェットは解散の失意から立ち直り、自身のバンドであるブラックハーツを結成。1982年にリリースした「I Love Rock ‘n’ Roll」は全米ナンバーワンになり本当の成功を手にした。現在では女性ロッカーの草分けとしてリスペクトの嵐だ。今日のガールズバンドの活躍は、ランナウェイズなくして語れない。

女の子にだってタマはある。ただちょっと上についてる。それだけよ。(ジョーン・ジェット)


なお、映画のサントラには、スージー・クアトロ、デヴィッド・ボウイ、ストゥージズ、セックス・ピストルズのほか、クリステンやダコタが歌うランナウェイズ・ナンバーが収録されている。

映画の予告編


伝説の日本公演。こちらは本物のランナウェイズ。

Live_in_Japan_-_The_Runaways
『ランナウェイズ』

『ランナウェイズ』


*日本公開時チラシ
155121_1
コメント引用/『ランナウェイズ』パンフレットより

この機会にぜひお読みください!
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