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名プロデューサー、ナイル・ロジャースによって歌詞を変えられたINXSの「オリジナル・シン」

2026.01.23

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1960年代がアメリカの若者にとって革命の10年だったように、オーストラリアの若者にとっては、1970年代は新しい季節だった。

若者たちは、大学近くの安アパートで共同生活を始め、親の世代の価値観と日々、戦っていた。

INXSのアンドリュー・ファリスとマイケル・ハッチェンスは、1984年に発表された「オリジナル・シン」にそんな時代の熱気を持ち込もうとする。そのキーワードがオリジナル・シン=原罪だった。

原罪とは、聖書の創世記に登場する重要なキーワードである。アダムとイブは、蛇にそそのかされ、この木からは食べてはならない、と言われた木の実(リンゴとも言われている)を口にし、楽園から追放される。それが原罪とされるわけだ。

だが、人間に自由意志はないのだろうか?
常に親の言う通りに生きなければいけないのだろうか?
それは誰もが思うことである。

そしてまさに、INXSのメンバーだけでなく、当時のオーストラリアの若者たちは、新しい価値観を求めて日々を過ごしていたのである。

♪夢を見続けるんだ
ホワイト・ボーイ
夢を持ち続けるのさ
ホワイト・ガール♪


コーラス部分の歌詞は、最初そう書かれていた。だが、プロデューサーのナイル・ロジャースは冷静に、バンドのメンバーに伝えた。

「変えた方がいい」

ナイル・ロジャースは当時、大ヒットを重ねていたプロデューサーであり、「おしゃれフリーク」の大ヒットで知られるシックのギタリストだったシック結成前は、アポロ・シアターの音楽監督をつとめていた。アメリカ進出後、さほどの成功を収めていなかったINXSにとって、ロジャースはとても逆らえる相手ではなかった。

「ホワイト・ボーイとホワイト・ガールではなく、ブラック・ボーイとホワイト・ガールでは駄目なのかね?」とナイル・ロジャースは言った。

「私自身、異人種間のカップルから生まれているからね。このメッセージがどんな大きな意味を持つか、わかるつもりだ」

確かに、1980年台初頭といえば、今以上に白人と黒人のカップルはタブー視されていた。そしてバンドはプロデューサーの意見を取り入れ、歌詞を書き換えた。そして。。。「原罪」という言葉はより深い意味を持つように響いたのである。


ところで。
ナイル・ロジャースが今、この曲をプロデュースしたら、どんな注文をつけるだろうか。少なくとも、今のアメリカ大統領なら、元の「ホワイト・ボーイとホワイト・ガール」に戻せ、という大統領令を出しそうな気がするが。。。


*このコラムは2017年に公開されました。


Inxs『The Swing』
「オリジナル・シン」を収録した4thアルバム(Universal)


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