TAP the SCENE

グリース〜映画もサントラ盤も大ヒットしたトラボルタとオリビアの共演作

2017.07.26

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ニューヨーク市の中心部マンハッタンは、南北をアヴェニュー(番街)が、東西をストリート(丁目)が縫う、折れ目正しい街並を形成している。マンハッタン島南端からやや北西に向けて走り、7番街と42丁目の交差点で斜めに交わる通りがブロードウェイだ。

「ブロードウェイ」は一般的に街路の名称というよりはむしろ、タイムズ・スクエアを中心とする劇場街の代名詞となっている。現在、ブロードウェイには40ほどの大劇場がひしめき合い、連日、数多の演劇作品を上演している。ミュージカルはこの地を拠点として、この100年以上、繁栄と進化を遂げてきた。(『ミュージカル史』/小山内伸著より)


ジム・ジェイコブスとウォーレン・ケイシーによって書かれたミュージカル『グリース』(Grease)は、1971年6月にシカゴの小さな劇場で初演され、翌年2月にオフ・ブロードウェイ、6月にはいよいよブロードウェイに進出。以降、3388公演という当時のロングラン記録を更新(現在は歴代15位)しながら、幅広いファンに愛されてきた。トニー賞では無冠に終わっているが、知名度という点では1978年に映画化されたこともあり、日本でも馴染み深い作品の一つだろう。

主演は『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)でダンスフロアとスクリーンのスーパースターとなったジョン・トラボルタ。そして可憐なルックスでカントリー・ポップ調のヒット曲を連発してアイドル的人気の頂点(今のテイラー・スウィフト的なポジションか)にいたオリビア・ニュートン=ジョン。

トラボルタはまだ駆け出しの頃、『グリース』のミュージカル版で端役についたことがあった。舞台裏ではずっと主役のダニーに憧れていたそうだ。念願叶うと、相手のサンディ役にはオリビアを推薦(人気者の女の子に会いたいというミーハー心もあった模様)。一方、オリビアは映画出演に自信がなく、スクリーンテストを自ら申し出た。ダンスもこなしたオリビアは撮影中に才能を次々と発揮。冒頭では初めてのキスシーンも披露した。

製作はショービジネス界の帝王として君臨していたロバート・スティグウッド。数々のロック・ミュージカルを仕掛け、赤い牛のロゴで有名なレコード会社RSOを設立。そんな彼が『サタデー・ナイト・フィーバー』の次に用意したのが『グリース』。映画化にあたっては懐古的な構成のミュージカル版を踏襲するのではなく、50年代の青春が今まさに展開されているかのようなリアルに変換された。

これが当たらないわけがない。映画だけでなく、舞台版の楽曲以外に新曲が多数加えられた2枚組のサウンドトラック盤も大ヒット。全米だけで800万枚セットを売り上げ、シングル2曲(トラボルタとオリビアのデュエット、ビー・ジーズのバリー・ギブ作曲フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリ歌唱の主題歌)もナンバー1を記録。すべてが“勢いに乗って”大成功となった。


サウンドトラック『Grease』(全米1位)

Grease/フランキー・ヴァリ(全米1位)
You’re the One That I Want/ジョン・トラボルタ&オリビア・ニュートン=ジョン(全米1位)
Summer Nights/ジョン・トラボルタ&オリビア・ニュートン=ジョン(全米5位)
Hopelessly Devoted to You/オリビア・ニュートン=ジョン(全米3位)

ハリウッドで行われたプレミアショーはその徹底ぶりが今でも語り草になっている。まず招待客はチャイニーズ・シアターで映画を鑑賞。終映後はスクールバスでパラマウントスタジオ内に設置された「ライデル高校」へ案内。チアリーダーやブラスバンドが出迎える。高級ホテルが用意した食事を学食スタイルで味わうと、豪華ゲストを迎えた懐かしい50年代のロックンロールやロッカバラードで、フランキー・アヴァロンやシャ・ナ・ナが歌って演奏した映画のダンスパーティ・シーンのように踊って楽しむという企画。

物語はボーイ・ミーツ・ガールもの。9月のライデル高校の新学期。革ジャンとジーンズを合わせ、整髪料グリースでヘアースタイルを決めた高校生ダニーが、夏休みの避暑地で恋に落ちたサンディと再会するところから始まる。オーストラリアへは帰らなかったサンディが転校してきたのだ。ダニーは「Tバーズ」のチームリーダーという手前、カッコつけてサンディに冷たい態度を取ってしまう。

一方、「ピンク・レディーズ」の女の子たちと仲良くなった清純なサンディは、スランバー・パーティ(お泊まり会)や高校の花形スポーツ選手とのデートなどでアメリカのティーンエイジ・ライフを満喫。やがてTV中継される高校のダンスコンテスト、宿敵チームのスコーピオンズとのカーレースなどを経て、ダニーとサンディの二人の距離は次第に縮まっていく。そして卒業式。ダニーは思わず息をのむ。視線の先にはブラックレザーに身を包んだサンディの姿があった……。

この時、二人の年齢は、実はトラボルタ24歳、オリビア29歳だった。

オリビアとトラボルタの掛け合いが楽しい


『グリース』

『グリース』


*日本公開時チラシ

*引用・参考/『グリース』DVD特典映像、パンフレット、『ミュージカル史』(小山内伸著/中央公論新社)

評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
名作映画の“あの場面”で流れる“あの曲”を発掘する『TAP the SCENE』のバックナンバーはこちらから

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