この時期に使える、“Xmas雑学”をちょこっと。
それは、12月25日にイエス・キリストの降誕を祝うキリスト教の年中行事。一説によると、キリスト教伝来以前にゲルマン人やケルト人が盛大に祝っていた冬至の祭が起源で、これと結びついたのではないか?とも言われている。
記録によると、日本で最初にXmasが祝われたのは戦国時代。ザビエルが日本にキリスト教を伝えた3年後の1552年、山口県で行われた礼拝が最初。当時は、キリスト教の“隣人愛の精神”にのっとって、Xmasには貧しい農民への寄付や救済が行われていたという。
その後、1612年に出された禁教令を皮切りに日本は鎖国。長崎など一部の外国人居留地をのぞいて、Xmasは日本から一旦姿を消す。再び復活したのは、鎖国が解かれた明治時代だった。
1873年(明治6年)にキリスト教が解放。最初は、国内在住の外国人がパーティをする程度のイベントだった。1904年(明治37年)、初めてデパートにXmasツリーが飾られ、1910年にはXmas用のデコレーションケーキが発売された。
1930年代になって、本格的なXmas商戦がスタート。このあたりで現在のXmasの原形がほぼ完成したと言われている。
そして1980年代のバブル期少し前から、若者向けの雑誌でXmas特集が組まれるようになり、「恋人達にとって特別な日」という、縁もゆかりもないジャパニーズスタイルXmasが定着した。
「Christmas Card From A Hooker In Minneapolis」
ねぇチャーリー 私 妊娠しているのよ
ヤクはもうやめたわ ウイスキーもやめたの
旦那はトロンボーン吹きよ
お腹の子供は彼の子供じゃないけど
彼は愛してくれてるわ
この曲は、トム・ウェイツが1978年に発表した6枚目のアルバム『Blue Valentine』に収録されている。この手紙のような歌詞は、ビートジェネレーション以降のアメリカを代表するアングラ作家チャールズ・ブコウスキーの詩集、『The Roominghouse Madrigals』の中の「Charlie, I’m pregnant」という詩を下地にしている。
クリスマスカードの差出人の主人公(おそらく娼婦)は、元カレのチャーリーという男(カードの受け取り人)に、自分の(現在の)夫は楽器を演奏してスポーツするようなタイプで、今の自分がいかに幸せで恵まれているかを語り続ける。そして、ラスト数行の“ひねり”を効かせた意外な展開で手紙(歌)を結ぶ。
ジャジーなピアノ、切なくも美しいメロディ…実にトム・ウェイツらしい世界観が凝縮された楽曲である。元カノから“そんなクリスマスカード”を受け取った男の心情を思い浮かべながら、Xmasシーズンに独りグラスを傾けてみるのも悪くない。
ねぇ チャーリー ところで本当のことを知りたい?
トロンボーンを吹いている旦那なんて
実はいやしないのよ
本当はお金を貸してほしいの
弁護士に払わなくちゃならないのよ
ヴァレンタインデーの頃にはきっと仮出獄できると思うわ
「Christmas Card From A Hooker In Minneapolis」
女性歌手だと、この手紙の内容を本人が語っているようにも聴こえてくるから面白い。
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執筆者
【佐々木モトアキ プロフィール】
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