私の彼氏は
才能もないのにバンドなんかやって
物好きな人から拍手をもらって
いい気になってるのよ
久しぶりにデートしたかと思えば
タワレコかユニオンだし
家賃を滞納してるのに
CDとビールは買えるのね

続けてもいいから嘘は歌わないで
続けてもいいから嘘は歌わないで

（「週末はソウルバンド」より）

2009年、多摩美術大学にて結成された〈思い出野郎Aチーム〉。ホーンを擁する7人編成からなる彼らは、平日は仕事をしながら、土日をライブやリハーサル、レコーディングに費やし、酒ノリもエナジーにしつつマイペースに活動を続けてきた、まさに〈WEEKEND SOUL BAND〉だ。2012年フジロック〈ROOKIE A GO-GO〉に出演。それを機にライブ・イベントへの出演機会も増えていき、注目度を高めていった。

Ovallのドラマーとしての活動、U-zhaanやGAGLEとのコラボ、またチャラなどのプロデュースなどで知られるマルチプレイヤー、mabanuaをプロデューサーに招いた、思い出野郎Aチームのデビュー・アルバム『WEEKEND SOUL BAND』。やけのはら、VIDEOTAPEMUSIC、LUVRAWなどのゲスト陣を迎えて制作されたこのアルバムで彼らは、ファンク、ソウル、レゲエ、ジャズ、アフロなどをゴッタ煮にしたようなバンド・サウンドから、混沌とした熱量を感じさせるグルーヴを生み出す。

強烈な印象を焼き付けるのが、トランペットも担当する高橋一のボーカル。嗄れ声を振り絞った野太いシャウトからあふれ出るのは、二十代半ばのリアルな皮膚感覚や社会に対する鬱屈した想いが詰まった、生活のブルースだ。

都市生活の洗練を感じさせながら、同時に泥臭い日常も匂い立たせる──思い出野郎Aチームが奏でる、ラフでタフでスウィートなソウル・ミュージックは、ヘヴィな日々を一歩ずつ力強く歩んでいくためのサウンドトラックのように鳴り響く。

誰もが諦めた夜に
行き場のない八方ふさがりの夜に
僕らだけは夜通し踊るのさ

レコードを裏返して
もう一度音楽を鳴らそう
レコードを裏返して
君と踊り続けよう
レコードを裏返して
朝までダンスを
レコード裏返して
パーティーを再開しよう

（「side-B」より）

思い出野郎Aチーム
『WEEKEND SOUL BAND』

（felicity）

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