フィッシュマンズのメンバーとして頭角を表し、その後はリトル・テンポ、川上つよしと彼のムードメイカーズへの参加をはじめ、数多くのレコーディングやライブにもサポート・ミュージシャンとして活躍。現在はリユニオンしたフィッシュマンズやOKI DUB AINU BAND、こだま和文のバンド=KODAMA & THE DUB STATION BANDでも活動しているレゲエ・キーボーディスト、HAKASE-SUN。
彼はバンドやセッションでの演奏活動と並行して、2001年の1st『Plays Boyz-Toyz REGGAY!』を皮切りにソロ・アルバムをコンスタントにリリース。この度、3年ぶり9作目となるオリジナル・アルバム『幻想とリディムの旅』を完成させた。
これまでのアルバムと同様、オルガン・ピアノ・ピアニカによるインスト曲を中心に構成。HAKASE-SUN自身が打ち込んだリディムとダンスホール・レゲエのライブで引っ張りだこのNODATINによる裏打ちのギターに乗せて、ラヴァーズ・ロック、スカ、ダブと、レゲエのさまざまなスタイルをショーケースのように見せてくれる。
曲によって加わるホーン・セクションには、ここ数年のレコーディングには参加しているサックスの武嶋聡(EGO-WRAPPIN’他)と、トランペット/トロンボーンのicchie(ex.DETERMNATIONS/ハナレグミ 他)が参加。さらに「ARASHI-NO-YORU」では、ベネズエラのスカ・バンド〈スカ・ジャズ・メッセンジャーズ〉とのコラボレーションを展開。海を越えた友情が新たなキラー・スカを生んだ。
そして唯一のボーカル曲にはR&BシンガーのSugar Soulがゲストとして参加。夕暮れに眺める静かな海のように、ゆったりとやわらかな歌声を聴かせている。またマスタリングは、フィッシュマンズ時代からの盟友であるエンジニア、zAkが担当。HAKASE-SUNが紡ぐメロディーのドリーミーでロマンティックな風合いや、音色の細部にまでこだわった演奏の魅力はそのままに、レゲエならではのドシっと芯の太いサウンドの心地よさはしっかりと味わせてくれる。
日々の暮らしの中で何気なく聞き流すのにも最適な、心地よいHAKASE-SUN流レゲエ・ミュージック。なのだけれど、対面に据えてしっかりと聴けば、やわらかな音と美しいメロディーの奥に込められた骨太なアティテュードとメッセージを感じ取れることだろう。
HAKASE-SUN「Healin’ Love featuring SUGAR SOUL」 MV
HAKASE-SUN「ARASHI-NO-YORU featuring Ska Jazz Messengers」 MV