「自分にとっての『Night Fly』、つまりドナルド・フェイゲンのソロ作のようなアルバムを作ってみたい」
1995年以来、止まることなく活動を続けるノーナ・リーヴスのボーカル/ソングライターとしてのみならず、V6、Negicco、bump.yなど数々のプロデュース・ワークや楽曲提供、堂島孝平とのユニット〈Small Boys〉での活動、さらにはマイケル・ジャクソン研究をはじめとする執筆活動やラジオのパーソナリティ……と、八面六臂の活躍をみせる、西寺郷太。彼が、長年の願望であったソロ・アルバム『Temple St.(テンプル・ストリート)』を発表した。
西寺郷太自身のプロデュースによって生まれた本作は、彼が青春時代を過ごした80年代〜90年代のアメリカン・ポップスが持っていたカラッと乾いた空気感と、キラキラとした眩しさを、現代的な感覚でアップデートした、2014年の〈AOR〉。幅広い世代の耳に届けるポップ・マエストロな手腕、そして確実に耳に残るすぐれたメロディメイカーぶりはノーナ・リーヴスの作品群と共通しているが、ソロ作品だからこそのパーソナルな肌触りや、自身の音楽体験とのリンクがあらゆるところに散りばめられているのが興味深い。また、共同プロデュースを手がけた宮川弾(元ラヴ・タンバリンズ)による優雅でいてどこか歪んだストリングス/ブラス・アレンジが、作品により強い印象を加えている。
レコーディングは日々の創作活動の合間を縫って断続的に行われ、敬愛するティト・ジャクソン(ジャクソンズ/ジャクソン・ファイヴ)がギター、コーラスとして参加するというサプライズな展開も。洋楽ポップスに憧れはじめた少年の頃から変わらぬ音楽への愛情や好奇心と、20年近くキャリアを重ねて磨かれたセンスがポップにはじけた一枚に仕上がっている。
NONA REEVES official website
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西寺郷太「EMPTY HEART」 MV