この季節、忘れてはいけないタイトルが「オン・ザ・ビーチ」だ。
イギリスの人気歌手、クリフ・リチャードがこのタイトルの曲をアビー・ロード・スタジオでレコーディングしたのは1963年の11月のことだった。
もともとは映画「ワンダフル・ライフ」のサントラの中の1曲だったが、ラジオでのヘビーローテーションもあり、彼のヒット曲のひとつとなった。
それから20年ちょっと経った1986年。ネットワークが新たなヒット曲を生み出し始めた頃、映像サイトでヘビーローテーションとなったのが、クリス・レアの「オン・ザ・ビーチ」だった。
恋人たちの視線を縫うようにして、ひとり浜辺を彷徨う男。彼は今でも、過去の愛の思い出の中に生きている。真夏の風は、あの時と変わらぬメロディーを奏でているようだが、波が浜辺の砂を洗うように、時は彼の思い出の魔法を少しずつ洗い去っていく。
それでも、彼はこう訴えるのだ。
私の心は永遠に
芳しき思い出とともに
この夢の中にあるだろう
奇妙な欲望の日々よ
炎のように燃えた夜よ
私をあの懐かしい場所へ
連れ戻してほしい
あの渚へ
夏の太陽は時を止めてしまう魔法があるのだろう。だが、「オン・ザ・ビーチ」と聞いて、こんな話を思い出す人もいるだろう。
第3次世界大戦が勃発。北半球は放射能汚染で殲滅する。
アメリカ海軍の原子力潜水艦スコーピオン号は、オーストラリアのメルボルンへ寄港するが、アメリカ本土からモールス信号が断続的に発信されていることに気づく。
だが、発信元のワシントン州にある海軍学校に行ってみると、コーラの空き瓶が風に揺れ、キーを叩いていたことを知る。多くの者たちは、薬物による安楽死という道を選び始める。そして……
「オン・ザ・ビーチ」(渚にて)は、1957年、ネビル・シュートが書いた小説だ。そして今年も、様々な場所で、様々な夏がある。夏はその映像を焼付けようと、太陽を輝かせている。
だが、その背後では、確実に時は刻まれ、波は砂を洗い流しているのだ。

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