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沢田研二の名曲「我が窮状」〜稀代のスーパースターの反骨精神、歌に込めた切なる願いとは?

2018.09.02

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麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが 
忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない
英霊の涙に変えて 授かった宝だ

この窮状 救うために 
声なき声よ集え
我が窮状 守りきれたら 
残す未来輝くよ


【窮状(きゅうじょう)】という言葉を辞書でひいてみる。
「困っている状態」「大変苦しい立場にいるようす」「痛々しい状態」などと書いてある。
この歌は、日本を代表する人気歌手“ジュリー”こと沢田研二が2008年(平成20年)に発表した還暦記念アルバム『Rock’n Roll March』に収録されている。
作詞は彼自身の手によるもので、作曲は沢田の盟友でもあり日本を代表する作曲家、大野克夫によるものだ。 

麗しの国 日本の核が 歯車を狂わせたんだ
老いたるは無力を気骨に変えて 礎石となろうぜ
諦めは取り返せない 過ちを招くだけ


以前、彼は新聞のインタビューでこんなことを語っている。

還暦の前のあたりから『言いたいことを言わなきゃ』と思うようになった。
60歳越えたら余生、死ぬ準備をしているようなものだから。
アイドル時代は『表現の自由』がなかった。
華麗なジュリー、セクシーなジュリーに似合わないことは言えなかった。
芸能界で今“言いたいこと”を堂々と歌える歌手は多くない。
様々なしがらみが、様々な形でつきまとうから。
僕も『テレビに出られなくなるよ』と言われたことがある。
それでいい。
18歳でこの世界に入り、いつまでもアイドルじゃないだろ。
昔はジュリー、今はジジイ(笑)
太ったっていいじゃない(笑)
好きな事を、コツコツとやっていこうと思っている。
昔の名前を利用しながら…ね(笑)

[2012年5月4日付朝日新聞より抜粋]


彼はザ・タイガースでデビューした19歳から現在に至るまでの約50年間、毎年欠かすことなくレコーディングし、作品を発表し、ツアーを行ってきた。
この実績は、日本はおろか海外でも類を見ない偉業といえるだろう。
還暦を過ぎて“言いたいこと”を歌うスタイルをより濃く打ち出しながら現在もコンサートを中心とした活動を続けている。
また、ここ数年は『自分はテレビに出られない(正確には出ない)』という理由でNHK紅白歌合戦からの(過去のヒット曲での)出演オファーを何度も断っているという。
彼はナツメロを唄う“昔の歌手”ではなく、現役のアーティストである。
彼のコンサートの当日券売り場に行列ができることはないという。
それは何を意味するのか?
そのほとんどの公演で約7,000円のチケットが完売するのだ。
彼は日本で初めて野球場で唄った男だ。
そして日本で初めて武道館単独公演を成功させた男でもある。
日本で初めてテレビ局が用意した楽団の伴奏ではなく、自分のバンド持ち込んでパフォーマンスしたのも彼だ。
日本人として初めてフランスのチャートで上位にランクインした男としても知られている。
還暦にして東京ドーム&京セラドーム大阪を埋め尽くしたファンを前に、約6時間半にも及ぶステージで80曲を歌いきったアーティストは彼の他にいないだろう。

「僕は夢を見ない、なぜなら16歳の頃からずっと憧れていた夢の世界に今もいるから。」


【沢田研二オフィシャルサイト】
http://www.co-colo.com

沢田研二『ROCK’N ROLL MARCH』

沢田研二『ROCK’N ROLL MARCH』

(2008/ココロ・コーポレーション)


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