1983年にイギリス北西部の工業都市、マンチェスターで結成されたザ・ストーン・ローゼズ。
その初期メンバーでありバンドの中心であるイアン・ブラウンとジョン・スクワイアは、共にパンク・ムーヴメント真っ只中で青春時代を送った世代だ。
しかし、彼らがストーン・ローゼズを結成したとき、すでにパンク・ムーヴメントは終焉を迎えていた。
若者たちはドラム・マシーンやシンセサイザーによって生み出されるクラブ・ミュージックに夢中になり、それらをロックに取り入れたニュー・オーダーなどのバンドが人気を集めていた。
ストーン・ローゼズもまた時代の変化とともに、パンクの影響を強く感じさせるエネルギッシュなサウンドから、スローでメロディアスでダンスビートを感じさせるようなサウンドへと変化していく。
そしてクラブや倉庫でのイベントなどで下積み時代を過ごし、1988年にインディーズの大手、ゾンバ・ミュージックのレーベル、シルバートーンと契約を果たすと、翌89年5月にファースト・アルバム『ストーン・ローゼズ』をリリースする。
ダンス・ミュージックからサイケデリック、フォーク、ファンクなど様々なジャンルを融合させたこのアルバムは、時代を代表する1枚として語り継がれることになる。
アルバムのリリースから3ヶ月後、彼らはマンチェスターの北西に位置し、海に面するリゾート地、ブラックプールのエンプレス・ボールルームでコンサートを催した。
そこは1896年に建設された歴史あるイベントスペースで、普段は政治家たちが話し合う場や、社交ダンス、ダーツの大会などに使われている。
1960年代にはローリング・ストーンズやピンク・フロイドなどがコンサートの会場として使用しているが、1971年にモット・ザ・フープルが使用して以来、ロック・コンサートとしてはほとんど使用されていなかった。
なぜここをコンサートの場所に選んだのかという理由について、イアンはこう答えている。
「ブラックプールは単純なアイデアだったんだ。俺たちはただコンサートをやるより、1歩前に進んだことをやりたかったのさ。みんなに遠足をさせてあげたかったんだよ」
場内は収容人数の3千人を大幅に上回る、4千人近い人たちがごった返していた。彼らは“遠足”を楽しみ、ストーン・ローゼズの音楽に熱狂した。
ストーン・ローゼズは時代の変化の中で多種多様なファンを取り込んできた。パンク・バンド時代からのファンもいればヒッピーの格好をした者、クラブで踊っている者など、普段は違う音楽を聴いているであろう人たちが、ストーン・ローゼズの音楽を通じて1つとなり、特別な一夜を過ごしたのだった。

そして翌1990年5月にはマージー川に浮かぶ島、スパイク・アイランドで4万人近い観客を動員した歴史的なコンサートを実現させることとなる。
ブラックプールでのコンサートは、マンチェスターの数あるインディーバンドの1つだった彼らが、完全にその枠を抜け出した瞬間だった。


Very Best of the Stone Roses
●Amazon Music Unlimitedへの登録はこちらから
●AmazonPrimeVideoチャンネルへの登録はこちらから

- TAPthePOPアンソロジー『音楽愛 ONGAKU LOVE』
TAP the POPが初書籍を出版しました!
「真の音楽」だけが持つ“繋がり”や“物語”とは?
この一冊があれば、きっと誰かに話したくなる
今までに配信された約4,000本のコラムから、140本を厳選したアンソロジー。462ページ。
「音楽のチカラで前進したい」「大切な人に共有したい」「あの頃の自分を取り戻したい」「音楽をもっと探究、学びたい」……音楽を愛する人のための心の一冊となるべく、この本を作りました。
▼Amazonで絶賛発売中!!
『音楽愛 ONGAKU LOVE』の詳細・購入はこちらから







