ジャック・ホワイト

「かつてホワイト・ストライプスとして活動した〜」という説明はもはや不要だろう。全米チャート1位を記録し、グラミー賞5部門にノミネートされたファースト・ソロ・アルバム『ブランダーバス』から2年。ジャック・ホワイトの新作『ラザレット』は、ロックンロールの過去と現在を繋ぎながら、新たな視野を開いていく。

前作リリース以降、ベックとのスプリット・シングルのリリースや、ニール・ヤングのアルバムへの参加、また自身の別プロジェクトデッド・ウェザーの新曲を公開するなど精力的に活動を続けてきた、ジャック・ホワイト。新作『ラザレット』はロックンロールを基調にしながら、ブルース、ブルーグラス、ブギなどルーツ・ミュージックからの影響をより一層と深く反映させたサウンドが印象的だ。フィドルやマンドリン、スティールギターも飛び出したりと一聴するとオールドタイミーな肌触りだが、ストーリー性に満ちた歌とともに響くことで、現代社会に潜むアメリカン・ゴシックを浮き彫りにするような奇妙な味わいを持つ。毒々しくも美しい、燃えるようにロマンチックなロックンロール・アルバムだ。