TAP the SCENE

メリーに首ったけ〜日本の映画館でも珍しいことに爆笑が至る所から聞こえていた

2015.12.16

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度肝を抜かれるおかしさ。こいつはビョーキだ。信じられないシーンのてんこ盛り。超下品な笑いとポップなノリでガンガン攻めまくる不気味な奴らが勢揃い。死ぬほどくだらない映画が最高だ!
(ローリング・ストーン誌)


ここ数年、日本で劇場公開された洋画の中で『テッド』が予想外のヒットを飛ばしたが、「可愛いテディ・ベアの縫いぐるみが出てくるファミリー映画」と勘違いして途中で焦った人も少なくないと聞く。それで思い出したのが『メリーに首ったけ』(There’s Something About Mary/1998)で、この映画も「デートで観に行く爽やかな恋愛映画」と思って劇場に二人で足を運び、上映開始10分あたりで“異常事態”に気づいた人も多いはず。それでも離席する人はなく、日本の映画館では珍しいことに、笑い声や爆笑が至る所から聞こえていた。

テーマやメッセージ、映像美。そんなものは一切ない。あるのは「どうしようもない男たちが、どうしようもなく魅力的な女に、どうしようもない手段で愛を告白する」ムードだけ。それが分かっているから、下品な台詞もやや困惑する描写もギリギリ許される。コメディに変化する。昇華する。

脚本/監督のファレリー兄弟(兄ピーターと弟ボビー)は前作『ジム・キャリーはMr.ダマー』のアスペンに引き続き、本作ではマイアミを舞台に選んだが、彼らはリゾート地の光景が人々を解放的にして子供心に戻すことを知っていたのだ。この映画のヒット以降、日本の配給会社ではこの種のタイトルやヴィジュアル(ポスターやチラシ)によるPRが増殖した。

主演は当時『マスク』出演後にスター街道を歩み始めていたキャメロン・ディアスと、今では監督としても『ライフ』など良質な作品を撮り続けるベン・スティラー。クセの強い連中の一人にクールな役が多かったマット・ディロンがキャスティングされていることにも注目。また、NFLのスーパースターのブレット・ファーヴが登場したり、狂言回し役にはあのモダン・ラバーズのリーダーとしてカルト的なロックファンを持つジョナサン・リッチマンを起用。

ストーリーは、1985年の思い出から始まる。歯の矯正でさえないルックスのテッド(ベン・スティラー)はある日、知的障害のある弟をいじめから助けたことをきっかけに、姉のメリー(キャメロン・ディアス)にプロムの相手になってほしいと言われる。学園のアイドルからのまさかの誘いに人生最高の幸せを実感するテッド。しかしプロムの当日、カーペンターズの歌が脳裏に流れていると、人生最大の悲劇=ジッパーにアレが挟んでしまうという事故が起き、救急車で運ばれてしまう。

あれから13年後。テッドは出版社に勤めながら彼女いない歴を更新中。友人のドム(クリス・エリオット)がマイアミにメリーが住んでいることを教えると、軽薄なノリの保険調査員のヒーリー(マット・ディロン)にメリー探しを依頼する。だがヒーリーは美しいメリーに一目惚れしてしまい、テッドに「メリーは120キロに体重が増え、父親の違う4人の母で、外反母趾で車椅子の生活を送っている」などと大嘘をつく。ヒーリーはあらゆる悪知恵を駆使してメリーをマーケティングして接近する。

過ぎ去った日々に耽るテッドだったが、ヒーリーの報告がデタラメだと知ると、マイアミへと車を走らせる。道中はゲイやヒッチハイカーたちのトラブルに見舞われて警察沙汰になるが、それでも何とかメリーと再会を果たす。
一方、ヒーリーは建築家になりすましてメリーとデート中。しかし、松葉杖をつく建築家タッカー(リー・エバンス)の登場で素性がバラされてしまう。そんなタッカーも実はペテン師で本当はピザの宅配人として走り回っている。さらに一緒に来た友人ドムの顔には湿疹が増えているが、彼にはメリーをストーカーしていた過去があった。みんな、メリーに首ったけ。テッドは果たしてメリーと結ばれるのか!?

ギャグが数々出てくるが、中でも冒頭のジッパーによる「マメとソーセージ」事故。タッカーの松葉杖ダンス。メリーのヘア・ジェルなどが強烈な笑いと印象を残す。ファレリー兄弟によると、ジッパーのアイデアは友人がバースデー・パーティで似たような体験があったことから取り入れたそうだ。

エンドロールで流れるファウンデーションズの名曲「Build Me Up Buttercup」でキャストたちが歌って楽しむ映像がこの作品の世界観を象徴しているようで、「コメディ映画っていいな」と温かい気持ちにさせてくれる。

ファウンデーションズの名曲が流れる楽しいエンディング


予告編

♪ Build Me Up Buttercup



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『メリーに首ったけ』


*日本公開時チラシ
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評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
名作映画の“あの場面”で流れる“あの曲”を発掘する『TAP the SCENE』のバックナンバーはこちらから

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