「ドラッグは、この世に存在する醜いものに俺の魂を占領させず、美しいものだけに触れていられるようにする唯一の方法なんだ」
17歳で初めてコカインに手を出してからというもの、ジョン・フルシアンテにとってドラッグは、生きていくためになくてはならない存在だった。バイセクシャルであることも告白している彼は、コカインをキメて完璧なメイクアップを施し、ピンクのタイトなパンツをはいて、夜な夜なハリウッドの街へと繰り出していた。
「デヴィッド・ボウイもコカインをやってる時が一番クールな作品を作ってただろ? バイセクシャルとドラッグ──人生にこの2つがあるから、俺はロックに身を置いていられるんだ」
1992年5月7日、ワールドツアーの一環として来日中にレッド・ホット・チリ・ペッパーズを脱退。以降、うつ病とドラッグ中毒に苦しむ日々を送ったジョンが、27歳の時に発表したのがアルバム『Smile from the Streets You Hold』だ。
1994年にリリースした初のソロ・アルバムからのアウトテイクをもとに構成されたこの『Smile from the Streets You Hold』について、ジョンは「ドラッグを買う金が欲しくて作った。今では発表したことを後悔している」と、のちに公言している。 それほど彼の生活は堕落しきっていた。2年以上ギターにすら触れていなかったというこの時期は、ジョンにとってまさに“失われた数年間”だった。
その後、バンド・メンバーであるフリーをはじめ友人たちの手助けにより、うつ病を克服しドラッグ中毒から抜け出したジョンは、1999年にレッド・ホット・チリ・ペッパーズに復帰。バンド脱退以前のサイケデリックでテクニカルなギター・プレイは鳴りをひそめたが、エリック・クラプトンを彷彿させるような枯れたギターが、生まれ変わった彼を象徴するサウンドとなった。
27歳に暗黒の日々を送り、29歳で奇跡的にシーンへと舞い戻ったジョン・フルシアンテの歩みは、奇しくもエリック・クラプトンの足跡と符合する──27歳を生き延びた、ふたりの天才ギタリスト。そんな彼らが奏でるギターの音色からは、27歳で人生の幕を下ろしたジミ・ヘンドリックスの影が見え隠れするのだ。
レッド・ホット・チリペッパーズ
ボーカルのアンソニー・キーディス、ベースのフリーを中心に、1983年カリフォルニアにて結成。ファンクやヒップホップ、ハードロックなどを取り入れたサウンドで人気を博す。1991年にはヒット曲「Give It Away」で初のグラミーを受賞した。ギタリストのジョン・フルシアンテをはじめメンバーの出入りを繰り返しながらも、現在に至るまで世界的なロック・バンドとして君臨し続けている。
ジョン・フルシアンテはその後、2009年に円満的にバンドを脱退しソロ・アーティストとして活躍してきたが、2019年12月16日にレッド・ホット・チリペッパーズが、10年間ギタリストを務めてきたジョシュ・クリングホッファーの脱退と、ジョン・フルシアンテのバンド再加入を公式に発表。ジョンは2020年よりバンドへ正式に合流するとみられる。
John Frusciante feat. River Phoenix「Height Down」

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