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「TAP the COLOR」連載第141回
1986年から始まった「ロックの殿堂」(Rock and Roll Hall of Fame) は、デビュー25年以上のミュージシャンやバンドを対象としているが、2007年のセレモニーではザ・ロネッツ、グランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイヴ、パティ・スミス、ヴァン・ヘイレン、R.E.M.らが殿堂入りした。
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グランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイヴ『The Message』(1982)
NYのサウス・ブロンクスで生まれたヒップホップ。その黎明期(1970年代)から活動していた彼らを一躍シーンの最前線に押し出した名盤中の名盤。DJとしてすでに伝説だったグランドマスター・フラッシュのプレイも堪能できる。タイトルの「The Massage」はヒップホップが社会的なメディアや道具にもなることを教えてくれた。オールドスクールの大きな道標。
R.E.M.『Murmur』(1983)
90年代〜ゼロ年代にかけて、数多くのロックバンドからリスペクトを売けながら常にインディーズの精神から外れることなくアルバムをリリースし続けてきたR.E.M.の、これは余りにも伝説的なデビュー作。80年代当時、MTVを舞台としたヴィジュアル重視のポップミュージックや時代に寄り添いすぎるサウンドプロダクションのヒット曲が蔓延する中、彼らの登場と存在は若い世代だけでなく、硬派なロックファンにも支持された。
ヴァン・ヘイレン『Live: Right Here, Right Now』(1993)
1978年にデビュー。ギターヒーローのエディ・ヴァン・ヘイレンとエンターテイナーのデイヴ・リー・ロスという二大看板で、80年代前半のアメリカで最も人気があったバンドは、その後2代目ヴォーカリストのサミー・ヘイガーを迎えて新たなファンを獲得しながらさらに巨大化していく。本作はそんな頃のライヴ盤。2012年、デイヴが復帰して新作をリリースしたのは記憶に新しい。
パティ・スミス『Banga』(2012)
ロックが忘れていた衝動はこの女性ロッカー/詩人によって1975年に復活。NYパンクシーンと密接な関わりを持ちながら、彼女は4枚のアルバムをリリース。80年代を迎える前にシーンから退く。そして88年、96年と二度の長い沈黙の中で再生。以後はコンスタントに活動を続ける。本作は今のところ最新作。もしパティ・スミスという女性の存在がなかったら、ロックはとっくに男たちの手によって絶滅していたかもしれない。
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