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「TAP the COLOR」連載第224回
12月になると、むしょうにジョンやビッグ・オーの歌声が聴きたくなる。そしてポーグスとカースティ・マッコールのクリスマス・ソングが聴きたくなる。今夜はレジェンドたちが遺した音楽と向き合う時間を過ごしたい。
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ジョン・レノン&ヨーコ・オノ『Double Fantasy』(1980)
1980年11月、ジョン・レノンが5年ぶりにアルバム『Double Fantasy』で音楽シーンの最前線に復活。しかし、12月8日に自宅マンション前でファンに撃たれて、出血多量で息を引き取る。享年40。ロック界初の40代のロックスターとして精力的な活動が注目された矢先の悲劇は、世界中に衝撃が走った。ジョンの歌声は永遠だ。
ロイ・オービソン『Mystery Girl』(1989)
ロックンロール創世記の最重要人物の一人であること以上に、こんなにも儚い声で人生の哀切甘美を歌い上げた人はいないという点に絶対的な魅力がある。1966年に妻をオートバイ事故で亡くし、2年後には自宅の火事で二人の息子をも失ったオービソン。以後それまでの栄光が嘘だったかのように60年代後半からはヒットも一切出ず、長い不遇の時代を送ることになった。これは彼の復活作であり遺作であり、そして珠玉の人間ドラマだ。 1988年12月6日死去。享年52。
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ロイ・オービソン〜“ビッグ・オー”と永遠の少年たち
ロイ・オービソン〜泣いた男たちの果樹園
カースティ・マッコール『Kite』(1989)
英国の優れたシンガー・ソングライターであり、英国フォーク界の大物イワン・マッコールの娘。1979年に「They Don’t Know」(後にトレイシー・ウルマンのカバーで大ヒット)でデビュー。84年にプロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトと結婚。本作は89年に発表したセカンドで、いつまでも耳に残る心地よさはカースティ最大の魅力だった。彼女の名を知らなくても、クリスマスソングの定番であるポーグスの「The Fairytale of New York」を聴いたことのない人はいないだろう。2000年12月18日死去。享年41。
ジョージ・マイケル『Faith』(1987)
「Careless Whisper」などワム!時代からその非凡な才能が注目される中、満を持してリリースしたソロ第1弾。本作からはタイトル曲のほか「One More Try」「Father Figure」「Monkey」と立て続けに4曲ものナンバーワン・ヒットが生まれ、全世界で2500万枚以上を売り、80年代で最も成功したソロシンガーとなった。あらかじめ約束されていた男。晩年はトラブルばかりが二ュースになってしまったが、この時期の彼は眩しかった。2016年12月25日死去。享年53。
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