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「TAP the COLOR」連載第368回〜PURPLE〜
1970年代後半〜80年代前半、イギリスで起こったNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)をきっかけに世界へ広まった「ヘヴィメタル」。その後、70年代から活躍するハードロックバンドに加え、LAメタル、スラッシュ・メタル、ネオ・クラシカル・メタルなど様々なジャンルが確立。MTVや音楽雑誌を通じて数々の人気バンドやギターヒーローが誕生した。90年代のグランジ/オルタナ時代には時代遅れの対象にされるものの、ゼロ年代からは世代交代を経てシーンが再燃・活性化。音楽に限らず、映画やコミックやデザインなどポップカルチャーに与えた影響は計り知れない。アルバムジャケットに刻まれたバンドのロゴデザインにも注目してほしい。
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オジー・オズボーン『Tribute』(1987)
ヘヴィメタル界の帝王オジーの全作品の中でも、特筆すべきはやはり出発点となったファースト・アルバム『Blizzard Of Ozz』だろう。ランディ・ローズという運命のギタリストを得て、奇跡的なソングライティングに到達。「説明なんかいらないんだ。何をするかが分かってるんだ。あの通じ方は驚異的だった。ランディは俺の人生の中で、初めて希望を与えてくれた奴だった」。だが1982年3月に悲劇が起こる。本作はあれから5年の時を経てリリースされたランディ在籍時のライヴ。これを聴かずしてオジーもヘヴィメタルも語れない。全てが名曲。
ナイト・レンジャー『Dawn Patrol』(1982)
元ルビコンのジャック・ブレイズ、ブラッド・ギルスらが結成したナイト・レンジャーのデビュー作。ギルスは本作が制作された1982年当時、亡きランディ・ローズに代わってオジー・オズボーンのツアーにも参加していた。特にジェフ・ワトソンとのツインギター・プレイに多くのキッズたちは歓喜。ヒットしたオープニングの「Don’t Tell Me You Love Me」からいきなり魅せてくれる。
シンデレラ『Night Songs』(1986)
MTV受けする華麗なルックスやド派手なファッション、甘い響きのバンド名やいかにも的なアルバムジャケットから「LAメタル」の代表格と思われがちだが、実は東部フィラデルフィアの出身であるシンデレラ。「Nobody’s Fool」がスマッシュヒットし、アルバムは全米3位まで駆け上がり、300万以上のセールスを記録。1986年といえば、時代はまさにヘヴィメタル全盛期だった。
キングダム・カム『Kingdom Come』(1988)
元ストーン・フューリーでドイツ出身のレニー・ウルフを中心に結成。ヒットした「Get It On」によって、その歌声やサウンドがあまりにもレッド・ツェッペリンに似ていることが話題になった彼ら。売り出し方の不運もあって結果的にこの点がバンドの活動を短命に終わらせることになってしまった。本作は問題!?となったデビュー作。全米12位、ゴールドディスクを獲得。
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