「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the NEWS

運命の歌〜Across The Universe 後編

2014.09.14

Pocket
LINEで送る

運命の歌〜Across The Universe〜前編(TAP the NEWSより)

映画「I am Sam (アイ・アム・サム)」/予告編


2001年の12月、アメリカで映画『アイ・アム・サム(I am Sam)』が公開された。
それは、あの9月11日に起こったアメリが同時多発テロ事件から3ヶ月後のことだった。※日本公開は2002年6月。
知的障害を持つ父親・サム(ショーン・ペン)と、幼い娘・ルーシー(ダコタ・ファニング)との純粋な親子愛を描いた物語が、当時やり場のない不安と悲しみに暮れていた人々の心に大きな感動と勇気を与えた。

imgd48cc664zik2zj
サウンドトラックには有名アーティスト達がカヴァーしたビートルズの名曲が効果的に使用されたこともあり、音楽ファンからも高い評価を得た作品となった。
その中でひときわ光っていた曲がルーファス・ウェインライトによる「Across the Universe」だった。
アメリカのデジタル音楽誌『Paste Magazine』が2010年に選出したThe 50 Best Beatles Covers of All Timeでは、本作から5曲がランク・インを果たした。
●ルーファス・ウェインライト「Across the Universe」2位
●エイミー・マン&マイケル・ペン「Two of Us」8位
●ベン・フォールズ「Golden Slumbers」19位
●エディ・ヴェダー「You’ve Got to Hide Your Love Away(悲しみはぶっとばせ)」29位
●ベン・ハーパー「Strawberry Fields Forever」42位

彼はアメリカ・ニューヨーク州出身のシンガーソングライターで、1998年リリース1stアルバム『Rufus Wainwright』が高い評価を受け、更に1998年夏にショーン・レノンとツアーを行なったことで、名前を知られるようになった。
二人は共に、素晴らしい才能を持つ両親から生まれた“若手アーティスト”として意気投合し、親交を深めていった。
また、この曲のミュージックビデオには映画でルーシー役を演じた娘・ダコタ・ファニングが好演して話題となった。

♪「Across The Universe」/ルーファス・ウェインライト

「Jai Guru De Va, Om」神に感謝を…
何ものにも僕の世界を変えることはできない
どんなものも僕の世界は変えられない


♪「Across The Universe」/ルーファス・ウェインライト&モビー&ショーン・レノン


2001年10月2日、それは世界中を震撼させたあの悲劇からわずか3週間後のことだった。
ルーファスとショーンは、ニューヨークのレディオ・シティ・ミュージック・ホールで行われたコンサートのステージに立っていた。
それは、ショーンの母オノ・ヨーコが夫ジョン・レノンの音楽を讃えるためにプロデュースしたものだった。
その日はケヴィン・スペイシーを中心に、ダスティン・ホフマン、スティーヴ・ブシェミなど有名映画俳優達がプレゼンテーションし、豪華アーティスト達がそれぞれの想いを胸にジョンの名曲を歌うという貴重な一夜となった。
デイヴ・マシューズの「In My Life」、シンディ・ローパーの「Strawberry Fields Forever」、ルー・リードの「Jealous Guy」、アラニス・モリセットの「Dear Prudence」等々素晴らしいパフォーマンスが注目を集める中、ルーファスとショーンは“特別な想い”でこの曲を歌った。
それは奇しくも、全米のラジオ局を束ねるクリア・チャンネル・ネットワークスが「Imagine」を放送自粛リストに載せた時期と重なっていた。
あの悲劇が起きたばかりのニューヨークで、ルーファスとショーンが“このタイミング”で「Across The Universe」を歌ったことに、何か運命的なものを感じずにはいられない…。


Jai Guru De Va, Om…
何ものにも僕の世界を変えることはできない
どんなものも僕の世界は変えられない




MI0000350616

『I Am Sam(Soundtrack)』サウンドトラック

(2002/V2 Records)


91ciiz-cjCL._SL1500_

ジョン・レノン・トリビュート『Come Together』(DVD)

(2010/ヤマハミュージックアンドビジュアルズ)
「平和と非暴力」をメッセージしつづけたジョン・レノンの精神を旗印にNY.ラジオ・シティ・ホールで開かれたコンサートの模様を中心に収録。各曲の冒頭にジョンの発言映像が絡み、その後に俳優のプレゼンテーションがあり、歌手が紹介される、という立体的な構成になっている。俳優の語り口をはじめ、客席のVIPの映り方等、実にニューヨークらしい雰囲気である。

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the NEWS]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ