第56回グラミー賞 最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバムをはじめ、数多くの賞を獲得してきたヴァンパイア・ウィークエンド。そのベーシストとして活躍してきたのが、クリス・バイオだ。
活動拠点をニューヨークからロンドンに移し、音源制作のすべてを自ら手がけ完成したのが、先ごろリリースされたファースト・アルバム『The Names』。フェニックスやマムフォード&サンズの作品を送り出す米国インディー・レーベルから発表されるアルバムのタイトルは現代アメリカ文学界を代表する作家、ドン・デリーロの初期の小説から採られたという(ちなみにこの小説は映画化も決定している)。
「ここ5年間僕の心に響いた音をレコードにしたものなんだ」と語るサウンドの軸となっているのは、テクノやハウスといったダンス・トラックス。そこに少しメランコリックな表情も見せるメロディラインと、現在30歳のバイオ自身による色気のあるボーカルが加わると、どこか80年代に席巻したエレクトリック・ポップスやニュー・ロマンティックの薫りが漂ってくるのが面白い。「デヴィッド・ボウイとブライアン・フェリーに影響を受けたポップ・ソングがアリーナ級のテクノトラックと心地良く同居しているんだ」と自らも評するように、ダンスフロアで踊る若者にも、80年代に青春を過ごした人たちにも、不思議なほどに耳馴染みがよい、良質な、かつ先鋭的なポップ・アルバムに仕上がっている。
Baio official website
http://baiobaio.com/
バイオ「Sister of Pearl」 MV
バイオ「Endless Rhythm」 MV
バイオ「The Names (Strings Sessions)」 LIVE