エミー賞、グラミー賞、トニー賞、ゴールデングローブ賞、ピューリッツァー賞をすべて受賞した作曲家はひとりしか存在しない。
その名をマーヴィン・ハムリッシュという。舞台では「コーラスライン」が有名だし、映画では「スティング」だろうか。
そして、この曲もそうだ。
♪思い出は
心の片隅にかけられた
おぼろげな水彩画のよう
あの頃のふたりの思い出の絵♪
1974年にアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、エミー賞を受賞した「追憶」(原題「The Way We Were})の主題歌である。
歌ったのは、主演女優でもあるバーブラ・ストライサンド。
歌の主人公は、ばらばらになった写真に写るふたりの微笑みに視線を移し、あの頃に戻れないのかと、思案する。。。
バーバラの相手役はロバート・レッドフォード。
♪思い出して
あれは確か、9月
人生の時はゆっくりと豊かに流れてた
思い出して
あれは確か、9月
緑色の草原、麦の穂は黄金色
あれは確か、9月
あなたは若く、まだウブだった
思い出して
もし思い出してくれたなら
その思い出を追いかけて。。。♪
そんな詩を、「追憶」の前に詠んだ歌手がいる。
グラディス・ナイトだ。
この詩は、「トライ・トゥ・リメンバー」の冒頭部分。
「トライ・トゥ・リメンバー」は「ファンタスティコ」というミュージカルの挿入歌で、これまでブラザース・フォー、アンディ・ウィリアムス、ペリー・コモら多くの歌手に歌われてきた曲だ。
「トライ・トゥ・リメンバー」という歌の<現在>は12月。
そう、冬に出会いの秋を思い出している設定だ。
1973年の9月にレコーディングされたバーブラの「追憶」は、その年の冬にヒットチャートの1位を飾ったのである。
(このコラムは2014年10月2日に公開されたものです)