チャーリーはサーフィンなどしない
すりゃいいのによ
チャーリーはサーフィンなどしない
いけないことだと考えてるのさ
チャーリーはサーフィンなどしない
ハンバーガー・ママのためにはな
チャーリーをナパーム弾の星にしちまえ
1980年に発表された、ザ・クラッシュの3枚組大作『サンディニスタ』に収録されている「チャーリー・ドント・サーフ」は、その1年前に公開されたフランシス・コッポラの映画『地獄の黙示録』にインスパイアされて書かれた作品だ。
「それはまるで悪夢のように、頭から離れなくなった」と、曲を書いたジョー・ストラマーは映画による影響を認めている。
映画の中で、陸軍ヘリ部隊の司令官はサーフィンを楽しむためにベトコンの前哨基地を攻撃する。その時の台詞が「チャーリーはサーフィンなどしない」だった。
チャーリー。それはベトコンの暗号である。ジョー・ストラマーが書いた「チャーリー・ドント・サーフ」は、米軍の兵士の視点から歌が始まるわけだ。そして歌詞は、書き手であるジョーの視点へと移動する。
誰もが世界を支配したがっている
人間が生まれて以来の性癖に違いない
だが忘れちゃならない真実は
衛星が宇宙を焼き尽くす時代だってことだ
「誰もが世界を支配したがっている」は、「Everybody wants to rule the world」。1985年にはティアーズ・フォー・フィアーズがこの一節をタイトルにヒットを放っている。
「エブリバディ・ワンツ・トゥ・ルール・ザ・ワールド」がヒットした後、ジョーはとあるレストランで、ティアーズ・フォー・フィアーズのシンガー、ローランド・オーザバルに出くわしている。
「貸しがあったはずだよな」
ジョーはローランドに言った。
ローランドは答えず、ただ上着のポケットから小切手帳を取り出し、5ポンドのチェックを切ったという。
さて、歌詞はその後、ベトナム兵の視点へと移動する。
見知らぬ連中は入れるな、と教えられてきた
奴らにうろつかれるのはゴメンさ
今じゃ町中、奴らでいっぱいだ
そんな奴らを吹っ飛ばしてやるのさ
だが、アメリカ軍は正義の名のもとに、自らの世界観を、武力を背景に、彼らに押し付けていく。
そう、誰もがサーフィンをするべきなのだ、と。
チャーリーはサーフィンなどしない
すりゃいいのによ
チャーリーはサーフィンなどしない
いけないことだと考えてるのさ
チャーリーはサーフィンなどしない
ハンバーガー・ママのためにはな
チャーリーをナパーム弾の星にしちまえ
この曲が発表されたのは1980年。「チャーリー・ドント・サーフ」が収録されているアルバム『サンディニスタ』は、アメリカの侵略に対抗しようとしたニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線からつけられている。
もしジョーが生きていれば、彼はこの時代をどう描くのだろうか。
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