♪この僕を友達と呼ぶとは
どんな神経をしているんだ
僕が落ち込んでた時
ただ突っ立って
ニヤニヤ笑ってた君が♪
4丁目。それはボブ・ディランがデビュー前後に住んでいたワシントン広場近くのホテルの住所であり、ミネソタの大学時代に住んでいた寮の住所だ。
風雲児、という表現そのままにスターダムに駆け上がっていったディラン。成功への階段を昇りつつあったディランに対して、かつての仲間たちはころころ態度を変えていく。
そんな「4丁目の住人」を歌にしたのが1965年に発表した「ポジティヴリー・4th・ストリート」だ。
彼らに対して、ディランの辛らつな言葉は続く。
♪いつでも手を貸すよとは
どんな神経をしているんだ
君はただ
勝ち組につきたいだけじゃないか ♪
人の心とは不思議なものである。その人自身は何も変わっていないのに、誰かが成功すると自分は失敗したかのような気分になることがある。
♪この僕が君を落ち込ませたって?
そういうことじゃないだろ
そんなに傷ついたというなら
その傷口を見せてみろよ♪
もちろん、ディランは彼らがイラついている原因を理解している。
♪君が僕の陰口を言う
理由はわかってる
僕がその昔
君たちの輪の中にいたからだろ?♪
ディランは続ける。
♪君が今の地位や境遇に
不満があるのはわかるよ
でもわかるだろ
それは僕の問題じゃないのさ♪
少なくとも、ディランは少しは相手の身になって考えてみた。
だから、こっちの身になって考えてくれ、と歌うのである。
♪ああ、一度でいいから
僕の身になってみろよ
君を見てるだけで
うんざりだってことが
わかるはずだから♪
ボブ・ディランは「4丁目」という、彼の交友エリアだけを歌ったのだろうか。
それは人間関係全般にも言えることだし、今この曲を聴き直すと、人と人ではなく、国と国の間でもあてはまるように響いてくるのである。
かつて、同じ軍服を着ていた人たちが、一方は戦勝国と言い、一方は敗戦国と言う。
違いを強調することだけに囚われていると、見えなくなることがある。戦いに勝った日だと、負けた日だと、政治家が叫んでいるその日は、同じ日で、戦争が終わった日なのだけれど。。。
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