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マリアンヌ・フェイスフル〜ミック・ジャガーの恋人、薬物・アルコール依存症を乗り越えて、老婆を好演する女優となって

2022.12.29

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「That of all the girlfriend’s he’s (Jagger) ever had,He loved her(Marianne) the most(ミックはこれまでのすべての恋人の中で、マリアンヌのことを一番愛していたわ)」
これはミック・ジャガーの2番目の妻ジェリー・ホールが語った言葉だ。


父は薔薇を約束してくれた
そして母は嵐を
父は頭を使うことを教えてくれた
そして母は喋ることを
彼がそっと頭を撫でてくれると
私は生まれるような気分なの…


──マリアンヌ・フェイスフル。
彼女は1968年に公開された映画『あの胸にもう一度』で、裸に黒革の衣装をまとってアラン・ドロンと共演し、日本の人気漫画『ルパン三世』に登場する峰不二子のモデルとなったと言われている女性だ。
1964年のデビュー当初、そのロリータ的な美貌と透き通るような歌声で一躍英国を代表するカルチャーアイコンとなった彼女。
そしてザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとの交際が発端となり、酒とドラッグに溺れ、波乱の時期を経ながら…現在も音楽活動を続けながら女優としても活躍している。
今日はこれまで彼女がどんな人生を歩んできたのか?その生い立ちや足跡をご紹介します。


──彼女は1946年12月29日にイギリスのロンドンで生まれた。
父親が英国人で母親はオーストリアの名門貴族の家系出身だという。
“マゾヒズム”という言葉の由来となったレオポルド・フォン・マゾッホを親戚に持つことでも有名である。
幼いころに両親が離婚し彼女は修道院で育つ。
16歳の頃には男の子たちの憧れの的になり、ボーイフレンドに誘われて大学のパーティーに行き、美術商だった最初の夫ジョン・ダンバーに出会う。
17歳でいわゆる“出来ちゃった婚”をして、1963年の11月に長男ニコラスを出産。
夫は美術商ということもあり幅広い人脈を持っており、その中にローリング・ストーンズのマネージャーを担当していたアンドリュー・オールダムがいた。
アンドリューは彼女を見て「この容姿なら売れる!」と確信し、ミック・ジャガーとキース・リチャーズに曲を作るよう指示。
翌1964年に、ミックとキースが手がけた楽曲「As Tears Go By(涙あふれて)」で、に歌手デビューを果たす。
その後、ジャン=リュック・ゴダールに見出されて映画デビューを。


1965年には夫と離婚し、本格的にミック・ジャガーの恋人となる。
一般的な家庭で育ったミックはその頃からブルジョワに強い憧れがあり、上品で天使のように美しいマリアンヌに一目惚れしたという。
そして…当時のストーンズを取り巻く状況の中で、彼女もまたドラッグ、アルコール、セックスの渦中へと引き込まれゆく。
デビューから3年間くらいは“エンジェル・ボイス”と言われてきたが、1969年の「Sister Morphine(シスター・モルヒネ)」あたりから歌唱法を変え、1970年代後期の頃には完全に“しゃがれ声”となってゆく。



その頃はパンクミュージック全盛期の後半であり、彼女の歌声は徐々に輝きを失いながらも時代と並走してゆく。
修道院で厳格な躾と高度な教育を受けて育てられた彼女は、しだいに「堕落した道徳のシンボル」「天使の顔をした娼婦」と形容されるようになる。
マスコミに追い詰められ、ミックとの子を流産した上に浮気性なロックスターに翻弄される日々に疲れ果て…彼女は益々ドラッグに溺れてゆく。
そんな彼女の姿を見かねたミックは薬物を止めさせようとするもののうまくいかず…結局二人は1970年に破局してしまう。
十代で結婚した夫と別れ、ミックとも別れ、子供の親権をも失った彼女は自殺未遂を繰り返しながら、アルコール依存症や摂食障害などの問題も抱えることになる。
その後、彼女は更正施設に入り、健康を取り戻し徐々にシンガーとしての活動を再開させる。
そして33歳の時にリリースしたアルバム『Broken English』(1979年)で高い評価を得る。


彼女はBBCの番組『Who Do You Think You Are?』で、ミックとの別れについてこんな風に語っている。

「彼は私を愛していたし、私も彼を愛してたわ。でも、自分の中の何かが彼のもとから立ち去らせたの。今でもなぜだかわからない。先に進まなくてはならなかったのよ。彼を愛していたから、とても悲しく辛いことだったわ。母のことが浮かぶわ。男性に対する秘めた憎しみが、とてつもなく大きな影響力を持っていたのかもしれない…。」

彼女の母親は戦時中にロシア軍兵士に強姦されたことが原因で、男性をひどく嫌っていた。
彼女もその影響を受けて、男性との関係が上手く築けなかったという。

「母は克服できず、ずっと男性を憎んでた。それが私にも引き継がれたのよ。彼女はそんなこと思ってもみなかったでしょうね…。でも、そうなっちゃったのよ。トラウマと恐怖は長く続いたわ。恋愛をしてちゃんとした関係を持った上でセックスするのに薬やお酒が必要ない状態になったのは50歳のときよ。」


また、彼女は世間が自分に抱くイメージとのギャップにも苦しんでいたようだ。

「1960年代は…私にとって大きな問題だったわ。特に私は何もかもがワイルドでセクシュアルだってフリしてたから。本当はそうじゃなかったのに。」

そして…彼女は現在に至るまで独自のスタイルのシンガー・女優としてそのキャリアを重ねてきた。
デヴィッド・リンチ監督の映画では欠かせない音楽作家アンジェロ・バダラメンティとのコラボレーションや、ベックとの共同作業で次々とオルタナティヴな傑作をリリースするなど、60年代の彼女からは誰も予想出来なかったスタイルとクオリティーをキープしている。
また映画『柔らかい手』(2007年)では38年ぶりに主演を果たし、61歳にして見事に老婆役を演じ上げ女優としての評価を高めている。





【オフィシャルサイト】
http://www.mariannefaithfull.org.uk






こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。





【歌ものがたり2023 今夜すべての歌酒場で】

1月14日(土)長崎タンゲ食堂
1月15日(日)佐賀(唐津)DEN
1月20日(金)大牟田BAR LAST NUMBER
1月21日(土)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
1月22日(日)二日市COFFEE AND CIGARETTES
1月26日(木)福岡(警固)呑処 岡ひろ
1月28日(土)米子 海あに💋
1月29日(日)岡山Record BAR COZY
1月30日(月)兵庫IL grazie伊丹店
2月9日(木)名古屋 ROLLING MAN
2月10日(金)京都Bar USAGI
2月11日(土)浜松Esquerita68
2月12日(日)東海市 Funky LIVE Diner ダイナマイト
2月17日(金)佐賀 雷神💋
2月18日(土)福岡 Bar KINGBEE💋
2月19日(日)大分・宇佐 Michiyard cafe
3月10日(金)札幌 天狼星(ドッグスター)
3月11日(土)札幌 SALINAS💋
3月12日(日)埼玉(北浦和) パラダイスロード


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12733736025.html









【TWO HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2023 東京公演 】

1月7日(土)東京・ZINC Asakusa

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12768882625.html





【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Autumn/Winter 2022 Japan Tour】

11月26日(土)高円寺MOONSTOMP
12月17日(土)埼玉・所沢MOJO


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12751903088.html





【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Spring/Summer 2023 Japan Tour #1】


2月3日(金)富山・高岡GOOD FELLOWS
2月4日(土)金沢JealousGuy
2月5日(日)新潟 Live Bar Mush
2月23日(木・祝)広島NANA
2月24日(金)岡山Desperado
2月25日(土)米子 海あに
2月26日(日)松江MUSICA LIBERUM @Miz
3月4日(土)横浜Bar Brixton Market
3月5日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
3月16日(木)沖縄・コザ CROSSOVER CAFE’614
3月17日(金)沖縄・那覇 Output
3月18日(土)沖縄・伊江島 Bar’n ZERO
3月20日(月)福岡 Bar KING BEE
3月21日(火・祝)福岡 Bar KING BEE



↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12772950670.html




佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
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090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki

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