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いのちの歌〜戦場で失われるものEach One Lost〜

2014.07.13

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♪「Each One Lost」/ブルース・コバーン


今から5年前の出来事。
2009年、ブルース・コバーン(Bruce Cockburn)は母国カナダからアフガニスタンのカンダハルに駐屯しているカナダ軍の基地を訪れる途中、ドバイNATO軍の基地で飛行機を乗り換えていた。
その日、アフガニスタンの戦闘で戦死した二人の若いカナダ軍兵士を国に送り返す飛行機が到着した。
彼は、滑走路で急遽行なわれた葬儀に参加し、故郷に帰る二人の兵士を見送った。
その時に抱いた“想い”が心から離れず、帰国してすぐにこの「Each One Lost」を書いたという。

失われた一人一人は、あらゆるみんなにとっての喪失
失われた一人一人は、君や僕の命そのもの


彼は、日本が敗戦した1945年生まれの現在69歳。
誠実で美しい歌を作り続けているカナダの偉才で、そのキャリアは約45年にもなる。
1970年のデビューから10年ほどは、自然の美しさを描きながら“精神的な旅”や“哲学的な思索”をテーマにした曲を書いていた。
80年代に入ってからは政治社会問題を取り上げ、世の不正を告発するメッセージを放つようになる。
環境破壊問題や放置・残留地雷問題を解決するための活動にも精力的に取り組み、モザンビーク、ベトナム、アパルトヘイト時代の南アフリカ、そしてニカラグア紛争地帯にまで実際に足を運んで作品を発表している孤高のアーティストだ。

【オフィシャルサイト】※英語
http://brucecockburn.com

日々には、不平等で理不尽な出来事やニュースが溢れています。
新聞、テレビ、ネットやSNSでは様々な報道・情報が飛び交っています。
一握りの権力者や国の都合で、何かが“隠されたり”“ねじ曲げられたり”“すり替えられたり”しているのかもしれない。
だけど、誠実なアーティストが生み出した“歌”は教えてくれる。
「知ること」「伝えること」そして「自分の事として考えてみること」の大切さを。
二週に渡って“あえて”同じメッセージを添えます。
世界のどこかで戦争・紛争・貧困に苦しんでいる人や子供達がいます。
日本は終戦から今年で69年が経ちます。
今、世界は、この国は何処へ向かおうとしているのでしょうか?
それがどんな理由であれ繰り返してはいけない。
「戦争やテロはNO!」

失われた一人一人は、君や僕の命そのもの


2012年8月20日、シリアを取材中、銃撃によって志を絶たれたジャーナリスト・山本美香さん(享年45)の言葉をご紹介します。(書籍『戦争を取材する〜子供たちはなにを体験したのか』/山本美香・著より)

平和な世界は、たゆまぬ努力を続けなければ、あっという間に失われてしまいます。
世界は戦争ばかり、と悲観している時間はありません。
この瞬間にもまたひとつ、またふたつ…大切な命が奪われているかもしれない。
目をつぶって、そんなことを想像してみて下さい。


■『戦場に咲いた小さな花 山本美香という生き方』(ドキュメンタリー番組・45分)


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ブルース・コバーン『Small Source of Comfort』

(2011/True North)


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山本美香『戦争を取材する〜子供たちはなにを体験したのか』

(2011/講談社)





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