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ジム・クロウチ物語②〜なぜか愛された“悪い奴”リロイ・ブラウンの足跡を追う

2016.02.14

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リロイ・ブラウンはワルの中のワル
クソったれな街の中でも最悪の男
老いぼれのキングコングよりももっとワルで
ごみ捨て場の野良犬よりも卑劣な男


いきなりだが、この歌の主人公リロイ・ブラウンとはどんな人物なのだろう?
それは、1973年に夭逝したシンガーソングライター、ジム・クロウチが亡くなる半年前にリリースした「Bad, Bad Leroy Brown(リロイ・ブラウンは悪い奴)」の歌詞に登場する架空のキャラクターなのだという。
懐にはいつも 32 口径の銃を隠し持ち、靴にはカミソリを忍ばせるといった風体が描かれていて、一言で言えばギャングやチンピラみたいな輩なのだろう。
1977年には、アメリカで同名(Bad, Bad” Leroy Brown)のリングネームを持つプロレスラーが“大型黒人ヒール”として売り出された記録も残っている。

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そんな“悪い奴”のことを軽妙なテンポに乗せて歌った曲は、1973 年に全米No.1のヒットとなって以来、フランク・シナトラやドリー・パートンなどの大御所からも取り上げられて長きに渡って愛される歌となった。



この歌を生んだジム・クロウチは、曲がヒットした同年に飛行機事故でこの世を去った。
作者の死によって“永遠に過去のもの”となったと思われたリロイ・ブラウンだったが…なんと、その架空のキャラクターは一人歩きをして翌年に復活を遂げていたのだ。
リロイ・ブラウンはいつの間にか大西洋を渡り、イギリスの人気バンドQUEEN(クイーン)の 3 作目のアルバム『Sheer Heart Attack』(1974)の B面 5 曲目で「Bring Back That Leroy Brown」の中で甦っていたのだ。



連れ戻せ!呼び戻せ!
呼び戻せ!あのリロイ・ブラウンを!(そうとも!)
連れ戻せ!呼び戻せ!
思い出せ!あのリロイ・ブラウンを!(戻って来い!)
悪党のリロイ・ブラウンは常識なんて持ってやしない(あるもんか!)
アイツの脳みそは空っぽだが流儀はたんまり持ってるんだ
もうこんな刑務所の中にいるのは我慢できないぜ
お勤めからはさっさと抜け出してやるんだ


シカゴを舞台にジム・クロウチが生み出した架空のキャラクターが、歌詞の世界を飛び出して実在する悪役レスラーとして活躍したり、アメリカの大御所歌手に愛されたり、イギリスの人気バンドに呼び戻されたり…。
架空と現実の間(はざま)を行き来しながらリロイ・ブラウンは伝説の男となった。
もしかすると、彼は今もどこかで生きているのかもしれない。
いつの時代でも“悪い奴”はいるものだ。
また、時として“悪い奴”が愛されたりもするからこの世は不思議だ。



Jim Croce『Original Albums…Plus』
Edsel Records

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