TAP the SONG

日本でスタンダードになった、日本語のデイドリーム・ビリーバー

2014.06.27

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1964年の初めからビートルズが全米を制覇して空前のブームを巻き起こしたことに対抗して、アメリカのエンターテインメント業界が用意したのがモンキーズだった。

ビートルズのようなグループが歌うポップスをテレビ番組とを融合させて、新しいスターを作ろうとオーディションで選出された4人は、1966年8月に「恋の終列車 」をリリースしてデビュー。全米ネットワークのNBC系列で9月から30分番組の『ザ・モンキーズ・ショー』が始まると、幸先良く全米チャートの1位となった。

そこからは思惑通りにシングルが連続してヒットして、翌年には「アイム・ア・ビリーヴァー(I’m A Believer)」と「デイドリーム(Daydream Believer)」の2曲が全米ナンバーワンに輝いた。

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だが番組が長引くに連れて人気が下降、モンキーズは70年代を待たずに音楽シーンから姿を消してしまう。プロのヒットメイカーたちによって作られていた楽曲は良質のポップスではあっても、ビートルズのように独創的なオリジナリティがなかったのだ。

モンキーズの懐かしい楽曲が日本でよみがえったのは、1989年に忌野清志郎が三宅伸治らとともに結成した覆面バンド、タイマーズが「デイ・ドリーム・ビリーバー」の名でカヴァーしてからである。

原詩とはまったく異なる日本語の「デイ・ドリーム・ビリーバー」からは、なんとも言えない慈しみの気持ちや、深い愛情を感じるという声も多い。

ずっと夢を見て安心してた 
僕は Day Dream Believer そんで 彼女はクイーン

でもそれは 遠い遠い思い出 
日が暮れて テーブルに座っても
今は彼女 写真の中で
やさしい目で 僕に微笑む  

ずっと夢を見て幸せだったな
僕は Day Dream Believer そんで彼女はクイーン


父母が実の両親ではないと清志郎が知らされたのは、育ててくれた母が他界した1986年のことだったという。父からも、「俺は本当の父親ではない」と告げられた。

その2年後、父が突然に亡くなった後で親戚のおばさんが持ってきてくれたのは、育ての母の妹にあたる実母、富貴子さんが残した遺品だった。写真や書き残した文章、短歌などがアルバムにていねいに保存されていたばかりか、彼女が吹き込んだレコードまであった。

memo
今年に入ってから公表された当時のノート『ネズミに捧ぐ詩』には、生みの母への思いや遺品を目にした時の抑えきれない喜びが、「HAPPY」と題して記されている。

「わーい、ぼくのお母さんて こんなに可愛い顔してたんだぜ こんなに可愛い顔して 歩いたり、笑ったり、手紙を書いたり 歌ったり 泣いたりしてたんだね」


日本語でカバーされてから23年もの月日が経っているのに、「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌う清志郎の声がいつもエバーグリーンに感じるのは、そのときの幸福な気持ちが伝わってくるからなのかもしれない。

「37年近く生きてきて とにかく初めての気持ちなんだ 
とっても幸福な気持ち だけど、涙がどんどん出てきちゃうのさ 
気がつくと、ぼくの目に涙があふれてる 涙が流れ落ちるんだ 
その可愛い顔が見えなくなっちゃうんだ」


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忌野清志郎『ネズミに捧ぐ詩』
(2014/KADOKAWA)

THE TIMERS『ザ・タイマーズ』
ユニバーサルミュージック

―ヒットや流行を超えた歌―TAP the SONGでは毎週1曲、そんな歌をご紹介しています。
時代を超えるスタンダードになるための条件のひとつは、「デイドリーム・ビリーバー」のように、異なる世代へと歌い継がれていくことです。

TAP the SONGの執筆者である佐藤剛が書き下ろした新刊『「黄昏のビギン」の物語』(小学館新書)では、当時はまったく注目されなかった歌が、半世紀以上も人知れず歌い継がれることで、時代を超えて再発見されてスタンダード・ ナンバーとなっていく物語が綴られています。
それをトークとライブで体感してみませんか?
7月1日、東京・下北沢の北沢タウンホールにて、当時を知る方々を迎えて対話をしつつ、実際に本書に登場する歌と音楽をライブで聴くイベントが開催されます。

忌野清志郎さんとタイマーズ以来、長くバンド活動を続けた三宅伸治さんもゲスト参加します。入場無料ですので、お誘いあわせの上でお越しください。

せたがや音楽プロジェクト VOL.1
フォーラム「奇跡のジャパニーズ・スタンダードの誕生」

日時 2014年7月1日(火)・18時30分 開演(18時開場)
会場 北沢タウンホール(世田谷区北沢2-8-18)
入場無料
出演 佐藤剛(プロデューサー・作家)
トーク・ゲスト 下川純弘(NHK-OB・『夢であいましょう』スタッフ)
ライブ・ゲスト 中村耕一、三宅伸治、横沢ローラ
ミュージシャン 柴田奈穂(ヴァイオリン) 斎藤孝太郎(チェロ) 江森孝之(ギター)

https://www.facebook.com/events/483387421763804/

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