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「TAP the COLOR」連載第209回〜WHITE〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。9月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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レッド・ツェッペリン『In Through the Out Door』(1979)
前作『Presence』から3年半振りにリリースされ、翌年にドラマーのジョン・ボーナムが死去したことにより、ツェッペリンのラストアルバムとなった。LP時代は紙袋に包まれ、数種類のパターンのジャケットが存在していた。キーボードが全面に出たポップな音楽性は賛否両論。しかし、今となっては歴史的価値のある作品だ。1979年9月15日付から7週連続1位。
スティーヴィー・ニックス『Bella Donna』(1981)
このジャケットのように、今も「ロックの妖精」であり続ける彼女の初ソロ作。フリートウッド・マックのアルバムでは数曲しか聴けない彼女のハスキーな歌が、こちらでは全編で浸れる嬉しさ。トム・ペティやハートブレイカーズの面々、ドン・ヘンリーなどが参加。「Stop Draggin’ My Heart Around」「Edge of Seventeen」などのハード系もいいが、やはり「After the Glitter Fades」「Leather and Lace」あたりがスティーヴィー最大の魅力。1981年9月、1週だけナンバーワンになった。
マイケル・ジャクソン『Thriller』(1982)
説明不要のキング・オブ・ポップ、マイケルの最高傑作。1983〜1984年にかけて37週間1位を記録。グラミー賞をはじめとする音楽賞の総ナメ。MTVを使ったマーケティングも話題を呼び、ギネス登録のアルバム・セールスも記録した。日本では洋楽にまったく興味のない層にもアプローチしたという点は特筆すべき。80年代の音楽を語る時、最初の3行に必ず入れるべき作品だろう。
ライオネル・リッチー『Dancing on the Ceiling』(1986)
80年代を代表するバラディアーと言えば、真っ先にライオネル・リッチーの名を挙げなければならない。ダイアナ・ロスとの有名なデュエット「Endless Love」を筆頭に、ソロ1作目からは「Truly」、2作目から「Hello」、そして本作からは「Say You Say Me」といったように、この時代に青春期をリアルタイムで過ごした人なら、嫌でも耳に入ってきたヒット曲だ。正直、当時は敬遠していたが、今という時代に80年代を想う時、サウンドトラックとして外せない選曲だったりする。悪くないのだ。1986年9月〜10月で2週連続1位。
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