エルヴィス・コステロ。
彼の本名はデクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナスという。
1954年8月25日、ロンドンで生まれた彼のステージネームは、憧れのエルヴィス・プレスリーと父方の祖母の旧姓に由来している。
彼の血統(ルーツ)でもあるコステロの姓は、アイルランド系に多い苗字。
ミュージシャンだった父親がもらってくる大量の試聴用レコードに囲まれて育った彼は、幼少から音楽に慣れ親しんでいたという。
1977年、当時23歳だった彼はアルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー(My Aim Is True)』でデビューを果たす。
そのアルバムジャケットには“KING ELVIS”という文字が市松模様の中に小さく散りばめられている。
当時のコステロは“怒れる若者の代表”として音楽シーンに姿を現し、小気味いいビートと良質なメロディーで、パンク全盛期を迎えようとしていたロンドンに新風を吹かせたのだ。
そんな彼のデビューアルバムに収録された曲の中でも“白眉”と言われているのが「アリソン(Alison)」というラブソングである。
その歌詞の中には、アルバムタイトルでもある“My Aim Is True(僕は真実を求めているだけだ)”というフレーズがくり返し使われている。
一部のファンの間では「ダブルミーニングなどが含まれていて詞が難解だ」と言われるが…その真相は謎のままである。
コステロの歌詞は、日常を生きる人たちの“ある情景”を切りとったものが多い。
この「アリソン」は、ある男がパーティ会場のような場所でばったり昔の恋人に再会した場面からはじまる。
彼女は彼と別れた後(よりによって)彼の友人とくっつき…結婚をする。
一方、彼の方は未練タラタラで、久しぶりの再会なのにネチネチと嫌みを言いはじめる…。
どうしょうもなく情けない男と、そんな彼にうんざりしている元恋人との寸劇はまるでウディ・アレンの映画の一場面のようで…ある意味“良質なコメディー”の台詞ようにも聴こえてくる。



