彼らの名はアズテック・カメラ。スコットランドの中南部にある工業都市、イースト・キルブライド出身のロディ・フレイム(ボーカル&ギター)を中心としたグループ。
80年代、UKの音楽シーンを席巻したポストパンク/ネオアコ(ネオ・アコースティック)というジャンルを憶えているだろうか? その流れを組む彼らのサウンドは、日本のフリッパーズ・ギターに多大な影響を与えたことでも知られている。
ロディは17歳の頃(1980年)にこのバンドを結成し、弱冠21歳でWEAからメジャーデビューを果たした。坂本龍一をプロデューサーに迎えてアルバムを発表した経歴もある。これは坂本のファンであったロディたっての依頼だったという。
1995年までの活動期間中に6枚のアルバムを発表し、1998年からはロディ・フレイム(現在53歳)のソロ名義でキャリアを重ね、現在に至る。
ジョー・ストラマーのポスターが壁からはがれてる
そのあとに貼るものはなにもない
甘いものも苦いものも
僕らがみつけたもの
全部飲み干してきたんだ
彼らがインディーズ時代に発表した1stアルバム『High Land, Hard Rain』に、この「Walk Out To Winter」という曲が収録されている。歌詞の中にはザ・クラッシュのジョー・ストラマーの名前が登場するのだ。
同アルバムが発表された1983年のUK音楽シーンといえば、パンクロックから派生したニューウェイヴやニューロマンティックが台頭していた頃。アズテック・カメラは、そんなシーンの中で新しい音楽を模索していたバンドの一つだった。
結成当初は“ポストパンク”としてメッセージ性の強いハードな楽曲もレパートリーにしてきた彼らだったが、このアルバムを起点に、メロディアスでアコースティックな路線を打ち出した。
この歌には、当時19歳だったロディーの焦燥と希望が綴られている。シリアスになり過ぎずに、あくまでポップにしなやかに、十代から大人になっていく“決意表明”が高らかに唄われている。
パンクロックが誕生して約40年の歳月が流れた。パンクというストレートな音楽を通じて様々なメッセージが発信されてきた。
「PUNK IS ATTITUDE!NOT STYLE!」
ジョー・ストラマーが常々口にしていた言葉だ。時代は変わっていく。音楽が持つチカラや価値はどうだろうか? かつての若者たちはジョー・ストラマーの代わりに、貼るべきポスターを見つけただろうか…
冬に向かって歩き出そう
後れを取っちゃだめだ
壁に向かって歩いているような世代さ
でも僕は怒りはしない
ギアを入れて ここを抜け出すんだ

High Land Hard Rain
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