最近ではMr.Childrenのツアー・サポートでも活躍する、センスと技巧を兼ね備えたアコーディオン奏者・小春と、女優としての活動も展開したりとその個性にますます磨きがかかる歌い手・ももによる姉妹ユニット=チャラン・ポ・ランタンがアルバム『借りもの協奏』をリリースした。
チャラン・ポ・ランタンといえば、エスプリとアイロニーの効いたストーリー性豊かなオリジナル曲が魅力だが、彼女たちが披露するカバー曲の数々もまた素晴らしい。ライブでの定番になっている「ムスタファ」「ハバナギラ」をはじめ、ハナ肇とクレージーキャッツ「スーダラ節」などの歌謡曲から、ベイ・シティ・ローラーズ「Saturday Night」に独自の日本語詞を当てて引きこもりの歌にしてしまった「ソトデナイ」など、これまでライブやラジオなどで披露してきたカバー曲の数は300曲に迫るという。
新作『借りもの協奏』は、そんな彼女たちが満を持して発表する初のカバー・アルバムだ。あまりにもレパートリーが多いため、今回のアルバムはチャラン・ポ・ランタンと同じ〈二人組〉のグループの楽曲だけをカバーするというコンセプトが敷かれた。のだが、取り上げるアーティストと楽曲がとにかく雑食。ブルース・ブラザーズ「I Can’t Turn Your Loose」で賑やかにはじまる本作は、事務所の先輩でもあるPUFFY「アジアの純真」、フリッパーズ・ギター「恋とマシンガン」、ポルノグラフィティ「サウダージ」といった90〜00年代のJ-Popから、彼女たちも以前からカバーしているザ・ピーナッツのナンバーから「恋のバカンス」、さらにはヘドバとダビデ「ナオミの夢」、バグルス「ラジオスターの悲劇」、サイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」と、古今東西さまざまなデュオ曲をカバーし倒す。そのいずれもが、小春の類稀なアレンジ・センスでオリジナルのバージョンからガラリと印象を変え、チャラン・ポ・ランタンの音楽として見事に換骨奪胎している。
とくに印象に残るのは、電気グルーヴ「Shangri-La」のカバー。小春がアレンジし彼女たちのバンド〈カンカンバルカン〉が演奏した素材を、編曲家としても引っ張りだこのCMJK(ex.電気グルーヴ/Cutemen/Confusion)がさらにコラージュを施し再構築。チャラン・ポ・ランタンならではの生音の魅力を活かしながら、原曲が持つダンス・ミュージックとしての魅力も活かした新機軸が窺えるナンバーとなった。
まだ20代の彼女たちだが、あらゆる世代のヒット曲やさまざまなジャンルの楽曲を貪欲にカバーしていくことで、チャラン・ポ・ランタンの音楽性はさらに雑多な広がりをみせ、一筋縄にいかない深みを生み出していく。カバー・アルバム『借りもの協奏』は、この姉妹の底知れないポテンシャルをまざまざと見せつける怪作だ。
official website
http://www.charanporantan.net/
http://avex.jp/charanporantan_karimono/
チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン ツアー2016-17“大衆音楽の手引き”
11月10日(木)神奈川・横浜 赤レンガ倉庫
11月12日(土) 千葉・柏PALOOZA
11月20日(日)埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
11月26日(土)岡山・表町IMAGE
11月27日(日)京都・磔磔
12月3日(土)兵庫・神戸 VARIT.
12月4日(日)静岡・浜松窓枠
12月9日(金)北海道・札幌 PENNY LANE 24
12月11日(日)宮城・仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
12月17日(土)広島・CLUB QUATTRO
12月18日(日)福岡・BEAT STATION
2017年1月14日(土)大阪・umeda AKASO
2017年1月15日(日)名古屋・今池 BOTTOM LINE
2017年1月21日(土)東京・中野サンプラザ
詳細はチャラン・ポ・ランタン公式サイトを参照ください。