「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the NEWS

ジョンとヨーコの出会い①「釘を打つための絵」

2020.10.28

Pocket
LINEで送る

♪「Love」/ジョン・レノン


愛は現実であり実在する
愛は感覚 愛を感じること
愛とは愛されたいと欲すること



ジョン・レノンとオノ・ヨーコ。
世界中で最も“有名なカップル”と言っても過言ではないだろう。
1970年、ジョンはソロアルバム『John Lennon/Plastic Ono Band(ジョンの魂)』を発表する。
ビートルズ解散後に初めて発表されたアルバムとして当時多くの注目を集めた。
これ以前にも“ジョン・レノン&オノ・ヨーコ”の名義でアルバムを発表しているので、4枚目のソロ作となる。
そこに収録されたのが、この「LOVE」である。
ジョンのアコースティックギターと、プロデューサーのフィル・スペクターが弾いたピアノだけでレコーディングされたものだと云う。
それはまさに、ジョンとヨーコの関係を象徴するかのような“究極のラブソング”だ。



二人の出会いの舞台は、ヨーコの個展会場だった。
1966年11月9日の出来事。
前衛芸術家として活躍していたヨーコは、ロンドンのインディカ・ギャラリーで『未完成の絵画とオブジェ Unfinished Paintings and Objects』と銘打った個展を開催した。
その日、ジョンは友人に不思議な日本人女性アーティストのことを紹介されて、彼女の個展をオープニング前日にも関わらず訪れてみた。
友人の紹介とはいえ勝手にギャラリーを訪れたジョンは、いわば招かれざる客だった。
お互い相手が何者であるかも知らなかったにも関わらず、二人はその日その場で恋に落ちたのだ。
それは、こんな“やりとり”から芽生えた恋だったという。


ギャラリーを訪れたジョンは、『釘を打つための絵 Painting to Hammer a Nail』という作品に興味を示した。
それは、真っ白なキャンバスと金槌が壁に飾ってあるだけのもので、見た人がキャンバスに釘を打つというユニークな作品だったという。

ジョンは「釘を打ってもいいですか?」とヨーコに尋ねた。
ヨーコは「まだオープン前ですから、そういうことは困ります」と答えたという。
がっかりしているジョンを見て、ヨーコは「じゃあ、5シリングを払えば打っていいです」と言い出した。
するとジョンは「想像のお金を払うので、想像の釘を打っていいですか?」と答えたという。
そして…二人はにっこり笑い合った。
物に対する感じ方が同じだったのだ。
ジョンはこの出来事をきっかけに、世界一有名なバンドのメンバーとしているよりも、もっと自由に愛や平和を表現したいと心から感じ始めたのだという。
その後二人は少しずつその距離を縮め…一年という期間を経て恋人同士となってゆく。
紆余曲折の末(ジョンはシンシア・パウエルと結婚していたが1968年に離婚、ヨーコは映画監督のアンソニー・コックスと結婚していたが1969年に離婚、最初は一柳慧と結婚していたため2度目の離婚であった)1969年に英国領ジブラルタルで結婚した。
運命的な出会いによって結ばれたジョンとヨーコは、その後あの有名な“ベッドイン”など、次々とユニークな平和活動を行うようになる。


ジョン・レノン『John Lennon/Plastic Ono Band(ジョンの魂)』

ジョン・レノン
『John Lennon/Plastic Ono Band(ジョンの魂)』

(1970/EMI)

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the NEWS]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ