「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the NEXT

ホフディラン──デビュー20年を超え、古巣レーベルに舞い戻り5年ぶりのオリジナル・アルバムを発表

2017.11.06

Pocket
LINEで送る

ボーカル/ギターのワタナベイビーとボーカル/キーボードの小宮山雄飛の2人組で、1996年にシングル「スマイル」でデビューしたホフディラン。ヒットを記録した「恋はいつも幻のように」を筆頭に、「遠距離恋愛は続く」「欲望」「極楽はどこだ」「長い秘密」など数々の名曲を送り出してきた。日本武道館ワンマンを成功させるなど順調な活動ぶりを見せていた彼らだが、個々のソロ活動に専念するため2011年に活動休止を発表。

約3年半のブランクを経て、2006年にホフディランとしての活動を再開。ここ数年は小宮山雄飛が代表を務めるGENIUS AT WORKが企画を立て、ワタナベイビーと小宮山が2人きりで全国各地を行脚するアコースティック・ツアー「ホ二人旅」や、多彩なベーシストやドラマーが曲ごとに入れ替わって出演する「春のベースまつり」「秋のドラムまつり」、さらにはボブ・ディランのノーベル文学賞受賞を勝手に祝う〈デビュー20周年記念ツアー「ノーベル音楽SHOW」〉を開催したり、配信限定シングル「愛しあって世界は回る」をフリーダウンロードで無料リリースしたりと、既存のスタイルにとどまらない、彼ららしいユーモアセンスに満ちた活動で変わらぬ支持を集めている。


2016年にデビュー20周年を迎えたホフディラン。今年7月には同じ時代を駆け抜けてきたサニーデイ・サービス、真心ブラザーズをゲストに迎えて「ホフディラン 20周年最後の晩餐」と題した記念ライブを開催。そのステージ上で、5年ぶりとなるオリジナル・アルバム『帰ってきたホフディラン』をリリースすることを発表した。

その『帰ってきたホフディラン』、デビュー・シングル「スマイル」から3年間所属した古巣であるポニーキャニオンからのリリース。もともとデビュー20周年にあわせて渾身のアルバムを制作しようと作業を進めていたところ、デビュー当時のアーティスト担当だったスタッフが、現在ポニーキャニオンの社長に就いていて、古巣に戻ってリリースしないかと声をかけたのだとか。

19年ぶりに古巣レーベルからリリースされ、ディレクターなど当時のスタッフも参加して完成したというアルバム『帰ってきたホフディラン』は、デビュー・アルバム『多摩川レコード』を彷彿させるような瑞々しさやユニークさが随所に感じられる。50年代の洋楽ポップスのような美しさと切なさを湛えた小宮山のペンによる「僕のかわいい女の子」に幕を開ける本作は、リード曲となった「夜を越えて」を筆頭に、デビュー当時からスタッフに絶賛されながらなかなか陽の目を見なかったというワタナベイビー曲「ヤンヤンヤン」、ビーチボーイズのように爽快な小宮山作のラブソング「家を借りよう」、渋谷系の時代にど真ん中で活動していたワタナベイビーとかせきさいだぁが詞を共作した「恋は渋谷系」、小宮山が詞曲を手がけゴンドウトモヒコが流麗なビッグバンドジャズのアレンジに仕立てた「映画の中へ」など、ワタナベイビーと小宮山雄飛がほぼ半数ずつソングライティングを担当。そんな中で驚きなのがRCサクセション「雨上がりの夜空に」のカバーだろう。実はワタナベイビー、超がつくほどの清志郎/RCマニアで、ARABAKI ROCK FEST.の忌野清志郎トリビュートではあまりにもそっくりな清志郎パフォーマンスを披露している。さらに先述した「ホフディラン 20周年最後の晩餐」ではチャボこと仲井戸麗市をスペシャルゲストに迎えて「雨上がりの夜空に」を歌っていたのだが、なんとオリジナル・アルバムにまで収録されることになるとは!(ベイビーがどれぐらい清志郎に似ているかは記事後半にリンクを貼ったYoutube動画で確認を)。

ラストはデビュー当初から歌われてきた「ホフディランのテーマ」を、「ホフディランのバラッド」としてちょっと大人びたテイストでセルフリメイク。彼らの持ち味であるユニークかつシニカルなセンスが徹頭徹尾貫かれた最新アルバム『帰ってきたホフディラン』。楽しいことはとことん追求し、愛情を伝えるのはストレートで、悪ふざけにも全力投球──20年以上の時間を重ねてもなお、いつまでも、どこまでもホフディランはホフディランなのだ。


ホフディラン『帰ってきたホフディラン』

ホフディラン
『帰ってきたホフディラン』

(ポニーキャニオン)


*1st.〜5thオリジナルアルバム全5タイトル(ポニーキャニオン〜日本コロムビア時代の作品)が、秘蔵音源を収録した特典ディスク付きで再発売!


official website
http://hoff.jp/


Live Schedule
「帰ってくるホフディラン」

2017年11月19日(日)大阪・梅田バナナホール
2017年11月25日(土)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
2017年11月26日(日)東京・渋谷 Mt.RAINIER SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the NEXT]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ