2003年5月17日。ジョニー・キャッシュの愛妻ジューン・カーターは、彼女の故郷であるテネシー州ヘンダーソンヴィルの墓地に埋葬された。
葬儀には、その4カ月後に同じ墓地に埋葬されることになるジョニー・キャッシュの他、クリス・クリストファーソン、エミルー・ハリス、シェリル・クロウなどが参列した。
ジョニーとジューン。ふたりを象徴する歌が「リング・オブ・ファイア」だった。
♪愛とは燃えるもの
燃えて、炎の輪となる
荒々しい欲望に縛られ
俺は炎の輪に堕ちていく♪
「リング・オブ・ファイア」は、ドラッグに苦しんでいたジョニー・キャッシュを第一線に復活させた1曲である。そしてこの曲は、結婚前のジューンがジョニーに送ったものだと言われている。
リング・オブ・ファイア。
普通に辞書を引けば、それは環太平洋火山帯の意味だということがわかる。だが、それではラブソングらしくない。では、燃えるような思いをジューンは火山帯になぞらえたのだろうか?
ジョニー・キャッシュの最初の妻だったヴィヴィアンは、女の勘なのだろう、リング・オブ・ファイア=炎の輪とは「女性の身体のある部分」のことだろう、と述べている。
つまり、燃え盛っているのは彼女の肉体だというわけである。そしてその肉体に、男が堕ちていくのだ。
♪俺は、燃え盛る炎の輪に
堕ちていく
深く、深く、堕ちていく
そして炎はさらに高くなり
燃えて、燃えて、燃え盛る
炎の輪、炎の輪♪
カーター・ファミリーの一員として芸能界に登場して以来、歌手、女優、コメディアンなど、さまざまなフィールドで活躍したジューンの付き合いは広かった。同じ姓で、後にアメリカ大統領となるジミー・カーターは、父方の親戚だった。
2005年の映画「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」では、リース・ウィザースプーンがジューンを演じたことは記憶に新しい。
2013年には、ジョニー・キャッシュ・ファミリーを扱ったテレビ映画「リング・オブ・ファイア」が放映され、ここではジュエルがジューン役を演じている。
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