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TAP the LIVE

JBとの出会いによって踊りを進化させたミック・ジャガー

2016.10.18

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「テーブル大のステージを与えられたとき、ミック・ジャガーの右にでる者はいなかった。ジェイムズ・ブラウンは別かもしれないが」


キース・リチャーズは、自伝でストーンズがデビューした1960年代前半を振り返りながら、すでに抜きん出ていたミック・ジャガーのパフォーマンスについて、こう評している。

例外としてJBことジェームス・ブラウンの名が挙げられているが、そのJBとミックが同じステージに上がったのは、1964年10月28日のことだ。

その日から2日間に渡り、カリフォルニアのサンタモニカ公会堂では、T.A.M.I.ショー(ティーン・エイジ・ミュージック・インターナショナルの意)なるイベントが開催された。

出演者はストーンズとジェームス・ブラウン&ザ・フェイマス・フレイムスの他に、アメリカを代表するロックバンドとして若者から人気を博していたビーチボーイズ、すでにR&Bのレジェンドとしての風格を漂わせていたチャック・ベリー、そしてモータウンからはスモーキー・ロビンソンとマーヴィン・ゲイに加え、2連続で全米シングルチャート1位を獲得したシュープリームスなど、錚々たる顔ぶれだ。
音楽シーン全体が大きく変化していたこの時代において、様々なジャンルのトップ・スターが集まった歴史的な瞬間でもあった。

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先制攻撃を仕掛けたのはJBだった。
それはJBがリハーサルをしていたときのことだ。

「俺たちが歌っていると、みんなが控室から見にきた。ミックもそのなかにいた。
ミックはすでに俺たちの噂を聞いていたようだった。
だが、実際に俺たちを見て、自分の目が信じられなかったようだ」


JBは観客を熱狂させる術を知り尽くしていた。
ステージ全体を使って縦横無尽に踊りまくり、歌っているときでも音に合わせて動き続ける。
名門アポロシアターでも認められたそのパフォーマンスは、他の出演者たちを驚嘆させた。
中でも出番がJBの次で、全体のトリでもあるストーンズのミックには、かなりのプレッシャーがかかるのだった。

そして本番、観客の大半が白人の若者たちという決してホームとはいえないこの環境が、JBをいつも以上に本気にさせた。
また、自分を差し置いてトリに選ばれたストーンズに対して、「二度とアメリカに来たくないと思わせてやるさ」という対抗心もあった。

「これほど一生懸命踊ったことはなかった。客も、これほど速く動ける者を見たことがなかったと思う。
舞台を終了すると、客は俺を呼び戻そうとアンコールを叫びつづけた。
この時の舞台は、自分で何をやっているのかさえ自覚がないというたぐいのやつだった」




JBに続いてストーンズが登場すると、会場からは割れんばかりの黄色い歓声が上がった。
彼らのアイドル的な人気の高さを考えれば、当然の反応だったといえる。
そのままいつも通りにパフォーマンスしても、十分に会場は盛り上がることだろう。
しかしミックはそうしなかった。
その日に見たばかりのJBの踊りを即座に自身のパフォーマンスに取り入れてみせたのだ。
JBはその変化を自伝でこう綴っている。

「その日のミックは踊りまくった。それまでミックは歌う時じっと立ったままだったが、それ以来本当に動き回るようになったと思う」


マーヴィン・ゲイもまた、後日インタビューでミックのパフォーマンスを賞賛した。

「急にあのジャガーってやつが立ち止まり、ぐるっと旋回するところを見たかい……あれは計算してやってるんじゃない。でも、すごく刺激的なんだ」




JBはステージを降りたミックを待ちかまえると、「おめでとう」と声をかけた。
それはJBがストーンズの音楽を、そしてミックのパフォーマンスを認めた瞬間でもあった。
後日、JBはミック・ジャガーをアポロシアターに招待し、2人は互いの音楽を尊敬し合う仲となる。

ミックも自身の踊りについて、2012年にローリング・ストーン誌のインタビューで、幼少時代に習ったワルツやフォーク・ダンス、十代のときに流行ったジャイヴやツイストとともに、JBの影響の大きさを語っている。

「それからアメリカに行くことになってニューヨークのアポロシアターでジェームス・ブラウンを観たんだけど、これはすさまじい影響だったよね。その身体の動きだけでなく、そこに注ぐエネルギーがもう驚異的だったんだ」



『T.A.M.I. Show』[DVD]
10 SPOT


引用元:
『キース・リチャーズ自伝 ライフ』キース・リチャーズ著/棚橋志行訳(楓書店)
『俺がJBだ!―ジェームズ・ブラウン自叙伝』ジェームス・ブラウン/ブルース・タッカー著 山形 浩生/渡辺 佐智江/クイッグリー裕子訳(JICC出版局)
『ミック・ジャガー プリミティヴ・クール』クリストファー・サンドフォード著/奥田祐士訳(宝島社)

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