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パブロックの雄が放った珠玉のメッセージソング〜平和、愛、そして理解しあう事のどこがおかしいんだい?〜

2015.07.05

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「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/ニック・ロウ


As I walk through this wicked world
僕はこの荒れはてた世界を歩き続けながら
Searchin’ for light in the darkness of insanity
狂気の沙汰の中でも希望の光を探している
I ask myself, is all hope blasted?
すべての希望は枯れてしまったのか?と自問しながら
Is there only pain, hatred and misery?
この世界には苦痛と憎悪、そして貧困しか残っていないのかと…


And each time I feel like this inside
こんな憂鬱な気分になるといつも
Just one thing I want to know
知りたくなる事が一つだけあるんだ
What’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
平和、愛、そして理解しあう事のどこがおかしいんだい?
Oh! What’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
なぁ、平和、愛、そして理解しあう事ってそんなダサイのかい?


今からさかのぼること約40年…英国のミュージシャン、ニック・ロウはこの“完璧なメロディ”と言っても過言ではない珠玉のメッセージソングを発表した。
ニックはアメリカ音楽への造詣が深く、カントリーなどのルーツミュージックへのリスペクトを払いながらも、見事なポップミュージックへと昇華させたオリジナルソングを世に送り出してきた男だ。
この「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」[※曲タイトルはバージョンによって「What’s So Funny’Bout Peace, Love & Understanding?」と表記]は、そんな彼がBrinsley Schwarz(ブリンズリー・シュウォーツ)[※’70年代当時はブリンズレー・シュワルツと表記]というバンド時代に書いた名曲のひとつである。


パンクロック、ハードロック、グラムロック、プログレッシブロックなどなど多岐に渡る“ロックジャンル”の中にパブロックと呼ばれるジャンルがある。
70年代前半からイギリスで巻き起こったムーブメントの一つだ。
ニック・ロウが在籍していたブリンズリー・シュウォーツは“パブロックの礎”ともいえる伝説的なグループなのだ。
この“ブリンズリー・シュウォーツ”というちょっと不思議な名前は、当時リーダーでギター&ボーカルを担当していたブリンズリー・シュウォーツの名前がそのままバンド名になったものだという。
ニックは、あるインタヴューでバンド名が決まった経緯についてこう語っている。

「彼(ブリンズリー)は他のメンバーより年上だったんだ。他のみんなは当時まだガキでね。別に彼が自ら“これは僕のバンドだから自分の名前を付けたい”と言ったわけではなかったけれど、最年長ということで…言ってみれば彼がバンドリーダーのような者だったんだよ。それに彼がすごく珍しい名前だったというのもあって…他に特に理由はなかったね。」

前身バンド“Kippington Lodge(キッピントン・ロッジ)”にニックがベーシストとして加入したのが1968年のこと。
ポップロック調のシングルを数枚発表した後、ボブ・アンドリュース(キーボード)、ビリーランキン(ドラムス)に落ち着いて“ブリンズリー・シュウォーツ”に改名する。
当時のことをニックはこんな風に語っている。

「僕はブリンズリーと同じ学校に通っていたんだ。学校を卒業してプロのミュージシャンになるまで、僕はまっとうな職に就いていたんだ。ある日ブリンズリーが電話してきて、当時彼がやっていたバンド(キッピントン・ロッジ)に入らないか?と言ってきたんだよ。彼らはすでにレコード会社と契約を交わしていたんだけど、それは当時としては凄いことだったんだ。それで僕はすぐに仕事をやめて、彼の住んでいた街へ行ってバンドに加入したんだよ。そのバンドが後に“ブリンズリー・シュウォーツ”という名前に変わったんだ。」


「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/ブリンズリー・シュウォーツ


As I walk on through troubled times
僕はこの困難な時代を歩き続けるんだ
My spirit gets so downhearted sometimes
時々落ち込んでしまったりするけれど
So where are the strong who I’ve been trusting?
僕が信頼し続けていた素晴らしい人々は何処へ行ってしまったんだろう?
And where is the harmony, sweet harmony?
そして、あの調和、美しい調和は何処へ?

‘Cause each time I feel like slippin’ away
僕が逃げ出したい気持ちになる度に
It just makes me want to cry
こう叫びたくなるんだ
What’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
平和、愛、そして理解しあう事のどこがおかしいんだい?
Oh! What’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
なぁ、平和、愛、そして理解しあう事ってそんなダサイのかい?


このバンドのスタートは順風満帆なものではなかった…。
デビュー前に巨額を投じてアメリカでのプロモーションを展開するも、結果はボロボロ…多額の負債を背負うことになる。
70年に晴れてデビューするも、別名義でリリースしたり、年間300本ともいわれるパブでのライブなど地道な活動が続いたのだ。
ビートルズ以降の70年代のイギリスのロックと言えばハードロックやプログレッシブロックなどが登場して一大勢力を築いていく時代。
そんな中にあって、彼らのサウンドはロックンロール、ブルース、カントリーなどのアメリカン・ルーツミュージックとも言えるシンプルなもの。
ゆえに“イギリスのザ・バンド”とも呼ばれていた。
当時、同じようにパブロックというジャンルを形成していたアーティストとしてイアン・デューリーやパイレーツ、デイヴ・エドモンズ、ドクター・フィールグッドらも名を連ねる中、彼らの功績と云えば、その数年後に発生することとなるパンクやニューウェイヴへ多大な影響を与えたことだろう。
後にニックがプロデューサーとして関わったダムドやプリテンダーズ、そしてこの名曲「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」をカヴァーして多くの音楽ファンにメッセージを伝えたエルヴィス・コステロの活躍は、まさに“伝説のバンド”ブリンズリー・シュウォーツの存在があってこそのものだった。

「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/エルヴィス・コステロ


1972年にギター&ボーカルのイアン・ゴムが参加してからの3rdアルバム『Silver Pistol』はラインナップが固まっての代表作との呼び声も高く、その後も良質のアルバムを2枚発表するも…バンドは陽の目を見ることは無く1975年に解散する。
この名曲を収録したラストアルバム『The New Favourites of… Brinsley Schwarz』は、デイヴ・エドモンズのプロデュースによって1974年に発表されたもの。
ここでの意気投合がきっかけとなって、ニックとデイヴは後に“Rockpile(ロックパイル)”を結成し、さらに良質なポップミュージックを生み出してゆくこととなる。

「Heart」/ロックパイル

──この曲が誕生して約40年の時が流れた。
我が国は、多くの尊い命が犠牲になった太平洋戦争の終結から今年でちょうど70年の節目を迎える。
この間、日本は戦闘で1弾も発射せず、1人の戦死者も出していない。
2015年、いま日本は大きな曲がり角に立っている…。

「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/ニック・ロウ(2014年)

What’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
平和、愛、そして理解しあう事のどこがおかしいんだい?
Oh! What’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
なぁ、平和、愛、そして理解しあう事ってそんなダサイのかい?


ニック・ロウ『Quiet Please... The New Best Of Nick Lowe』

ニック・ロウ『Quiet Please… The New Best Of Nick Lowe』

(2009/ Proper)

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