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アルカ

2014.12.01

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絶望の果てにかすかに覗く希望/醜悪の中に咲き誇る美/苦悶の先に待っている快楽──アルカ(Arca)という謎めいたアーティストが生み出す音楽は、聴き手に不思議な聴後感を残す。

ベネズエラ出身、現在24歳のアルカ。ロンドンを拠点に活動する彼は、2012年にNYのレーベルUNOよりリリースされたEP三部作などが話題となり、2013年にはカニエ・ウエストのアルバム『Yeezus』にプロデューサーとして参加。また女性シンガー・ソングライター=FKA・ツイッグスのプロデュースなどで話題を集めたのち、MUTEレーベルと契約。2014年10月に、デビュー・アルバム『Xen(ゼン)』をリリースした。今後発表予定であるビョークのニュー・アルバムでも単独プロデュースを手がけていたりと、今もっとも注目される存在と言えるだろう。

カットアップされた楽器の音色や、金属的なノイズ、予測不能に飛び交うエフェクトなどが絡み合い生まれるアルカの音楽。アブストラクト・ヒップホップともブレイクビーツ・アートとも、あるいは前衛的なエレクトロニカとも呼べるかもしれないが、そういったカテゴライズに寄り添う期待は、痛快なほどに裏切られていく。デビュー・アルバム『Xen』も、初めは無機質で乱調な印象を覚えるサウンドが、アルバムを聴き進めていくにつれ、鼓動のようなビートが際立ち、ハーモニーがさまざまな彩りを与え、そして機械を通過した〈声〉が響く……それはまるで、混沌の中から得体の知れないミュータントが生まれていく様にも想像できる。

アルカの音楽表現に欠かせない存在となっているのが、14歳の頃からの付き合いという日系アーティスト=ジェシー・カンダによるヴィジュアル・アート。2013年にはMoMAにてアルカのミックス音源『&&&&&』を映像化した作品を発表し、大きな話題を呼んだ。現在もミュージック・ビデオをはじめアルカのヴィジュアル面を手がけているが、その一環である『Xen』のジャケット・ワークはまさしくミュータントな生命体のようにも見えるし、人間が心に抱える醜美の価値観を根本から引っくり返すような問いかけにも感じる。

アルカ(Arca)という言葉は、方舟を意味するという。彼は聴き手をどこに誘おうとしているのか。謎と不安を抱えながらも、とにかくこの船に乗り込んでみたいという、沸き立つ好奇心を押さえられない──24歳の若き才能が作る音楽は、そんな中毒的な魅力を放っている。

Arca『Xen』

アルカ(Arca)
『Xen』

(Mute/Traffic)


Arca Offcial Website
http://www.arca1000000.com/
Traffic(国内盤発売レーベル)website
http://trafficjpn.com/

Arca「Thievery」 MV
Arca「Xen」 MV
Arca「Now You Know」 MV

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