TAP the ROOTS

誰よりもナイーヴなビートル~ジョンの素顔その1

2016.10.06

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さて、今回もクイズです^^

 前回同様、ビートルズがデビュー以来、英国で発売してきたシングルが発売順に10曲、並んでいます。そして各楽曲の後ろには(カッコ)があり、それぞれ○△×の記号が付されているのも前回と同じです。今回の○△×には、どんな意味があるのでしょうか?

1 ラヴ・ミー・ドゥ(○)
2 プリーズ・プリーズ・ミー(△)
3 フロム・ミー・トゥー・ユー(○)
4 シー・ラヴズ・ユー(○)
5 抱きしめたい(△)
6 キャント・バイ・ミー・ラヴ(○)
7 ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!(×)
8 アイ・フィール・ファイン(○)
9 涙の乗車券(×)
10 ヘルプ(×)


 愛して、愛してくれよ
 君のことを愛してるのさ
 いつだって本気さ
 だから、お願いさ
 愛しておくれよ

 ビートルズのデビュー・シングル「ラヴ・ミー・ドゥー」が書かれたのは、ジョンがまだ17歳、ポールが16歳の時でした。学校をさぼってはふたりで曲作りに励んでいた頃、ポールが当時のガールフレンド、アイリス・カルドウェルを想って書いた歌だと言われていますが、この曲こそ、代表的な(○)の歌だといえるでしょう。


 昨晩、彼女に言ったのさ
 君は絶対自分からは動かないんだなって
 カモン、カモン、カモン、カモン
 お願いだから、僕を喜ばせておくれ
 僕が君を喜ばせるように




 ビートルズのセカンド・シングル「プリーズ・プリーズ・ミー」はジョンが大好きだったロイ・オービソンを念頭に書いた曲で、書かれた当初は、バラードだったようです。それをアップ・テンポにさせたのはプロデューサーのジョージ・マーティンで、そのおかげもあってか、この曲はビートルズ初のナンバーワン・シングルになります。
 それでは、何故この曲が(△)なのでしょうか。

 もう1曲、(△)印がついている「抱きしめたい」を聴いてみましょう。


 ああ、僕は君に何かを伝えるのさ
 君もわかってくれると思う
 その言葉を伝える時
 僕は君の手を握っていたい
 君の手を握っていたいんだ

 アメリカでのビートルズの人気を決定づけることになる「抱きしめたい」の原題は「君の手を握りたい」。日本のレコード会社もちょっと地味過ぎると考えたのでしょうか。
 この曲が書かれたのは1963年で、場所は、当時ポールがつきあっていた女優、ジェーン・アッシャーの家の地下でした。ジェーンの家には、後にポールが楽曲「愛なき世界」を提供することになるピーター&ゴードンの、そしてジェーンの兄であるピーター・アッシャーが住んでいました。ピーターはこの曲が書かれた時のことをこう回想しています。

「ポールはよく、母がオーボエの練習用に使っていた地下の部屋で曲を書いていて、その日はジョンがやってきてふたりで1時間かそこら作業をしていたんだ。そして僕が呼ばれたんだ。そして曲を聴かされた。どう思うってね」


 アッシャー兄妹の母は、ロイヤル・アカデミーのオーボエの先生でした。そんな家で過激な歌は作れない、というわけでもないのでしょうが、「抱きしめたい」は、とてもナイーヴな内容なのです。



 前置きが長くなってしまいました。
(○)は、愛=LOVEが歌詞に入っている歌なのです。入っているというよりは、愛そのものが歌のテーマだといってもいいでしょう。
 それに対して(△)は、LOVEという歌詞は出てくるものの、愛する、という意味ではなく、恋人というような呼びかけ言葉でしか使っていないのです。

 もう一度、(○)の曲を聴いてみましょう。


 僕の愛は金じゃ買えない
 僕の愛は金じゃ買えない
 僕の愛は金じゃ買えないのさ

「キャント・バイ・ミー・ラヴ」では、ポールが愛について叫んでいます。
 では、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」の次に発売された「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」ではどうでしょう。


 ハードな1日だった
 犬みたい働き続けたそんな夜
 ハードな1日だった
 棒切れみたいに眠っちまうような夜
 だが、家へ帰ってみれば
 君がしてくれた様々なことを見て
 それだけで僕は元気になるのさ

「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」というタイトルとはまったくかけ離れた内容の歌です。そしてこの歌では、手を握ってときめくのではなく、彼女が掃除をしてくれたであろう部屋や、彼女が作ってくれたであろう料理の香りだけで、主人公は満足しているのです。そしてこの歌には「愛」という言葉は出てきません。
(×)の歌を書き、歌ったのはジョン・レノンです。
 ジョンがポールやジョージより年上だったということもあるでしょうが、ジョンは「愛」を歌わなかったのです。
 安易に「愛」を口にしない男、ジョン。
 次回は、もう少し深く、ジョンの世界に踏み入ってみたいと思います。

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