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「TAP the COLOR」連載第116回
1960年代半ばにデビューしたロンドンのモッズ少年は、やがてシンガー・ソングライター、グラムロックのスター、モダン・ソウル、ベルリンの電子音楽といった流れで70年代を駆け抜け、常に最先端のポップカルチャーやヒップでアートな音楽文化を先導。そんなカルトスターとして君臨した男が大衆化した80年代とその後の低迷。バンド編成での原点回帰や90年代後半のソロ活動再開。俳優としての顔もあった人──デヴィッド・ボウイ。その足跡は眩しいほどスタイリッシュだ。
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『David Bowie』(1967)
1960年代前半〜半ば。R&RやR&B、ビート小説に傾倒するロンドンのモッズ少年は、1964年にDavie Jones with the King Beesとしてシングル「Liza Jane」でデビューを果たす。やがて彼はデヴィッド・ボウイと名を変え、試行錯誤の末にフォークやシンガー・ソングライター路線に到達。記念すべきこの初ソロ作が誕生した。この時まだ20歳。
『Young Americans』(1975)
グラム・ロックに包まれたジギー・スターダスト、あるいは近未来的なイメージを葬ったボウイが次に取り組んだのは、モッズ少年として愛した黒人音楽や同時期のフィリー・ソウルのポップカルチャー的再構築だった。本作は印象的なタイトル曲のほか、ジョン・レノンと共演した「Fame」のナンバーワン・ヒットも生み、アメリカ市場での成功をもたらした。
『Let’s Dance』(1983)
発売当時、日本でのキャッチコピー「時代は、ボウイに追いついた」の通り、それまで最先端のポップカルチャーやカルトスターのトップランナーだった男が遂に大衆人気を得るに至ったアルバム。MTV全盛の時代に再びアメリカ市場を狙い、音作りにナイル・ロジャースを迎えてヒット曲を量産。結果的に自己最大のセールスを記録した。本作から入って後追いしたファンも少なくないだろう。
サウンドトラック『Absolute Beginners』(1986)
『Let’s Dance』以降、長期間に渡って音楽創作に興味をなくしたと言われるボウイだが、一方では1980年代は俳優としての活動が目立った時期だった。日本でも大きな話題となった大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』や『眠れぬ夜のために』に続いて出演したのが本作『ビギナーズ』。モッズの台頭を描いたこの映画には、オリジナル・モッドとしての血が騒いだに違いない。ボウイはタイトル曲(名曲!)も歌った。
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