「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

月刊キヨシ

【特別企画】 ジョニー・キャッシュ来日コンサートの思い出

2014.05.23

Pocket
LINEで送る

≪まえがき≫
日本にも熱烈なファンが多いジョニー・キャッシュだが、来日公演のことになると、あったのかどうかが、どうもはっきりしない。調べていると、1962年11月14日に、東京の「後楽園ジム」で行われていたこと。実際にご覧になった亀渕昭信さんがその模様をwebマガジン「e-days」(阪急コミニュケーションズ)に書いておられることがわかった。
さっそく連絡をとり、ぜひもう一度あらためてとお願いしたところ、快諾してくださり、TapThePopにご寄稿いただくことができた。以下は書き下ろしのコラムである。
(長澤潔)

「May I have your Autograph?」


このTapthepop編集部の長澤さんが、僕が7年近くも前、e-daysという電子マガジンに書いたジョニー・キャッシュの記事を見つけられ、連絡をいただきました。

内容は、ズ〜〜っとズ~~っと昔、半世紀以上も前、ジョニー・キャッシュが日本にやって来てコンサートを開いた、それも入場無料、ただのコンサート。それを僕が見に行ったというという話でした。
これを転載できたらというご要望。でも、紙と違って、電子マガジンの記事は、多くの場合いつまでも残るし、読もうと思えば検索一発、発見できます。

しかし検索しなくても大丈夫。
これ↓↓↓です。
http://e-days.cc/style/columns/2/3.html

とはいっても、同じことじゃ、“一人コピペ”みたいで面白くない。なにか違うこと書きたいなぁと思って考えました。

そうそう、あれはジョニー・キャッシュがSunからColumbiaに移籍した頃。私、「エルヴィスもいなくなり、Sunレコード、経営、大丈夫かしら?」と他人事ながら心配したものでした。

来日したジョニー・キャッシュのバックは2人から3人に、そう、ルーサー・パーキンス(ギター)、マーシャル・グラント(べース)のTennessee TwoからW.S.ホーランドのドラムスが入ったTennessee Threeになっていました。

johnnycash_japan

W.S.ホーランドは、カール・パーキンズ率いるサポート・バンドのオリジナル・ドラマーだったことでも有名ですね。
C&W音楽のドラム。その昔はドラムレスが普通。エルヴィス・プレスリーもファンの方ならご存知のように、最初は、スコッティー(ギター)&ビル(ベース)の二人だけでしたからね。

会場の後楽園ホール・・・えっと思われるかもしれませんね。格闘技の聖地とよばれ、ボクシングのタイトル・マッチ知られる後楽園ホールですから。
あそこでジョニー・キャッシュが、やったんです。勿論、グローブではなく、ギターを持って。

私、自分が持っていたSunのLP3枚とカメラを持って出かけました。ショーが終って、楽屋口で待機。そして一緒に行った友達とジョニー・キャッシュと3人で写真を撮ってもらって、三枚のLP全部にジョニーのサインを貰いました。メンバー全員のサインは一枚だけ。これ、添付します。
まだ二十歳の頃、わたしゃ、単なる「ワンフー=ファン」だったんですね。
とにかく必死で練習して行ったんです。「May I Have Your Autograph?」。「May I Have Your Autograph?」「May I Have Your Autograph?」
何度も何度も繰り返して、覚えました。
「サイン、ちょうだい」のサイン、英語では「オートグラフ」というのだということ、どうやって覚えたかというと、すり切れるほど聴いたチャック・ベリーの名曲「Sweet Little Sixteen」の歌詞にあったからなんです。
その頃は、ロックンロールのヒット曲からたくさんの英単語、覚えたものでした。
記憶はさだかではないけれど、これは僕が初めて書いてもらったオートグラフ=サインかもしれません。
ジョニー・キャッシュ、ほんとにでっかい人、僕の背丈168cmは、彼の肩に届くか届かないか位でした。

ジョニー・キャッシュ&テネシー・スリー。寂しいことだけれど、ご健在なのは、御歳79才になるドラマーのW.S.ホランドだけになりました。彼は今でも現役で、自分のバンドを率いて、全米各地を巡演しています。
先日、彼のHPを見つけてメールをしてみたら、マネージャー兼ギター兼ボーカルのロン・ヘイニーから「日本からのメールは初めてだ!」と大喜びの返事を貰いました。
年寄りを元気づけるのは、皆の声援が一番、これ、間違いないっ!
私、最近、身をもって体験しているんですから・・・・・。

ホランドさんのHP(http://wsflukeholland.com/
ショップもあり、CDやTシャツ、サイン入りドラム・スティックとか売っています。どうぞ、買ってやってくださいな。
そんなわけで、また!


亀渕昭信
1942年、北海道生まれ、1964年、ニッポン放送入社。番組制作や深夜放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティを担当。1999年から6年間、同社代表取締役社長を務める。
主な著書に「35年目のリクエスト」(白泉社)「亀渕昭信のロックンロール伝」(株)ヤマハミュージックメディアなどがある。

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[月刊キヨシ]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ