アメリカン・フットボール・リーグ(NFL)の優勝決定戦、スーパーボウル。
毎年40%を超えるという脅威の視聴率で、全米が最も注目するイベントの一つに数えられる。
試合だけではなく合間に披露されるハーフタイムショーへの関心も高く、近年ではダイアナ・ロス、スティービー・ワンダー、エアロスミス、U2、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、プリンス、ザ・フー、ブルース・スプリングティーン等々、錚々たるアーティストがノーギャラで出演している。
スーパーボウルが始まった当初は、ハーフタイムに大学のマーチングバンドによるショーが催されていた。
流れが変わったのは1993年、NFLはハーフタイムでの視聴率低下を改善するために世界で最も注目されている最高のアーティストを呼ぶという対策をとる。
その候補として挙がったのがマイケル・ジャクソンだった。
スーパーボウルどころかNFLのこともほとんど知らなかったマイケルは再三に渡るNFLからの出演オファーを断る。
だが、スーパーボウルが世界中の国々で中継されて各地に駐留している米軍も見ていることを知ると「さすがに僕もそこまではツアーでも行けないからね」と考えを変えて出演が決まった。
ハーフタイムショーの本番、バックスタンドに設置された大型スクリーンにマイケルが映ったかと思うと、スクリーンの上に飛び出し、そこから中央のステージに“瞬間移動”するという演出で会場を沸かせる。
だがさらに観客を驚かせたのは、そこからマイケルがまったく動かないということだった。
いくら待ってもマイケルのライブが始まらないことに少しずつ観客のフラストレーションは募っていく。
試合が目当てでマイケルに興味のない者であっても、否応なしに目が離せなくなる。
およそ1分半、観客の我慢もいよいよ限界に達しようというところで、ついにマイケルは動いた。
サングラスを外し、ギターの音がスタジアムに鳴り響くと、極度のフラストレーションは一気に熱狂へと変わり、スタジアムはマイケルによって完全に支配された。
ハーフタイムショーは視聴率低下を防ぐどころか前半戦以上の視聴率を記録するという最高の結果を残し、世界のトップアーティストによるハーフタイムショーを恒例化させた。
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