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【インタビュー】Rei──迫力あるギター・プレイで進化を続ける、22歳のブルーズ

2015.11.09

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長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデューサーに迎えたファースト・ミニ・アルバム『BLU』を今年2月リリースした、22歳のシンガー・ソングライター/ギタリスト、Rei。4歳でクラシックギターを弾きはじめ、5歳でブルーズに出会ったという彼女。アメリカン・ルーツ・ミュージックに根ざした、豪快かつテクニカルなギター・プレイ、そして華奢な身体からは想像もつかない迫力あるパフォーマンスで、今年の夏フェスやイベントで注目をさらったReiが、早くもセカンド・ミニ・アルバム『UNO』を完成させた。


──以前、TAP the POPにてReiさんの『BLU』を取り上げたところ、とても大きな反響を呼びました。→ TAP the NEXT:Rei 紹介記事

「ありがとうございます。『BLU』は、1枚目のミニ・アルバムということで、自分のパーソナリティやアイデンティティをきちんと刻み込んで、私がどういう人なんだっていう人間性が表れるような作品にしたいなって思って作りました。ブルーズや60年代ロックなど、自分が通ってきた音楽のルーツも反映させながら、22歳の私、2015年に生きる人として現在の風を吹き込んでいく……そういう意図も込められています。聴いてくださった方からも、私のフィルターを通ることによってフレッシュに聞こえるねって言っていただけることがあって、それはすごく嬉しかったですね」



──共同プロデュースを手掛けた長岡さんとの作業で得たものを、ひとつ挙げるとするとどういったところですか?

「長岡さんに声をかけさせていただいたのは、素晴らしいギタリストであるからというのはもちろんなんですが、彼がギター/ボーカルを務めるペトロールズの歌詞に衝撃を受けたことも大きくて。もちろん詞の内容や意味も大切にされていると思うんですけど、日本語の響きや音感が気持ちいい言葉の使い方なんですよね。私も英語と日本語をしゃべる中で、歌詞の上での言語の使い方に悩んでいたところがあって。そういうことで学ぶ部分はたくさんありました。1枚目を作ったことでいただいたヒントをどうやって自分のものにしていくかが、今回の課題のひとつでした」

──Reiさんの音楽を聴いて感じるのは、ルーツ・ミュージックから大きな影響を受けてるはずなんだけれど、それをそのまま焼き直したりしようとする気が、さらさらないんだろうなっていうところに逞しさを感じるし、今の音楽としてどう鳴らすかっていうのをこだわって作られてるんだろうなというのが窺えます。

「やっぱり私自身ブルーズを好きになったのは、クリームを聴くようになったのがきっかけだったことが大きくて。クリームがロバート・ジョンソンの「Crossroad」を取り上げた時、その当時の最先端のロックバンドの音として表現した。何十年後かに私がそれを聴いて、ものすごい電流が走ったんです。それは、ちゃんと自分の中で消化して、自分のものとして呈示していることに衝撃を覚えたんですね。(ブルーズに対する考え方は)その影響かもしれません」

Asha-other のコピー
──その時代時代によってヒップな感覚っていうのは変わってくるし、ダイレクトに関わっている世代ならではの価値観が大きく表れるはずですからね。セルフ・プロデュースによって制作されたセカンド・ミニ・アルバム『UNO』は、前作より踏み込んだ形で、22歳という若い感覚をもって昔の音楽と今の音楽を掛け合わせ、スパークを起こした瞬間が捉えれられたような作品になっています。

「『BLU』の時より、自分がやる音楽っていうものをより明確にしたいっていう想いはありました。『UNO』ってタイトルは、スペイン語で〈1〉っていう意味です。いろんなジャンルのものに触れてきた経験を踏まえて、〈たったひとつ〉の音楽を作るっていう使命のもと作った、自分への挑戦状みたいな想いを込めて、このタイトルにしました。それに〈1〉っていう数字は、私が音楽をやる上で大切にしているミニマリズムともつながりがあります。ロバート・ジョンソンやビッグ・ビル・ブルーンジーといった戦前のブルーズマンたちの多くは、ギター1本で弾きながら歌っていた。クラシックギターも1人でステージに立って表現していく。そういうミニマルなものが、底知れないポテンシャルを持って、ものすごい大きなものになっていくのが魅力的だなって思って。もちろんバンド・メンバーがたくさんいる中でやる音楽の素晴らしさもあるんですけど、一人でどれぐらい大きな世界を表現できるかっていう、自分自身ずっとテーマにしてきたことなんです」

──そもそもブルーズという音楽自体も、ミニマムな構成で成り立っている音楽ですよね。

「基本的には3コードの12小節っていう、とってもシンプルなもので。古い音楽だからって先入観を持たれる方もいるかもしれないけれど、構造がすごくシンプルだからこそ、今の音楽にミックス&マッチすると思うし、私と同世代の方なんかにも伝わる部分がきっとあるんじゃないかと思っています」

──今回の作品では、宅録っぽいローファイな感触を感じさせる曲があったり、打ち込みと生音のグルーヴ感を融合させた曲があったりと、自由なアイディアにあふれたカラフルなサウンドが印象的です。たとえばリード曲の「JUMP」はどのようにして作られていったんですか?

Rei「JUMP」 MV


「最初に曲のベーシックな部分を作ってから、アレンジや構成をいろいろ実験しながら作りました。たとえばアレンジ面でいうと、ベースの役割をしているのがトロンボーンなんです。テイラー・スウィフトの〈Shake It Off〉って曲があるんですが、その曲はバリトンサックスがリフで入ってるのが斬新でいいなって思って。そこで私は、管楽器にベースの役割をもたせてみようと思って、トロンボーンを入れてみました。この曲に限らず、曲の構成についても定型文をなぞるようなことじゃなくて、ちゃんとサビはサビとして聴けるんだけれども、新しい形はないかなっていろいろと試しながら作っていきました。ただ、実験的なアルバムという紹介の仕方はしたくなくて。新しい形であるけれど、ちゃんとポップスとして確立したものとして呈示したい。音楽として、ポップソングとして成り立っているかどうかの見極めは、一番気を遣ったところかもしれません」

──「Black Cat」は、Reiさんの得意とするロッキンなブルーズなんですが、これも単なる焼き直しに陥らないアイディアが随所に織り込まれています。

「ちょっと前からライブでも演奏していた曲なんですが、レコーディング以前はセカンドラインを際立たせた感じのアレンジでやってたんです。だけど、セカンドラインっていうと〈Iko Iko〉とか偉大な曲がたくさんあるので、聴く人にそれを思い浮かばせないようにしたかった。ライブで演奏する時、セカンドラインのリズムが身体に入ってる人は、ちゃんとクラップできるんですが、エイト・ビートでリズムを取るほうがノリやすい人と二手にわかれていて。だったら、両方のリズムでノリやすいようにひとひねりしてみました。あとは、リズムギターはワウペダルを使ってみたり、ソロはブライアン・セッツァーみたいなロカビリーの感じの音使いをしてみたり、いろんな工夫を散りばめながら作ってみたら、こんな感じの曲になったんです」



──一方で、インスト曲の「Soleil」は、Reiさんのもうひとつのルーツである、クラシックギターの素養を感じさせる楽曲ですね。

「この曲は、トロンボーンとギターが2声、そしてドラムが入ってるんですけど、それぞれ違うメロディを奏でていて。〈ソレイユ〉はお日様という意味ですが、お日様の下では、虫や植物や動物や人間や、いろんな体内時計を持った生き物が共存してる。それぞれのリズムの中で生きていて生き方や考え方も違うけど、お互いに共存しながら強要しあわずに両立してるような世界になればいいのになって思って。それを音で表現するにはどうしたらいいんだろうと考えて、細かいリズムで奏でていくギターもあれば、ゆったりとしたリズムで演奏していくギターもあって、それがだんだん重なっていくような構造にしてみました」



──Reiさんが、楽曲を作る上で心がけている部分ってどんなところでしょう?

「私自身、音楽がすごく好きだからゆえに、どうしても『聴いて!聴いて!』って感じになっちゃいがちなんです。リスナーとして音楽を聴く時も、耳をかっぽじって聴くようなところがあるので。だけど、音楽ってそういう聴き方ばかりじゃない。みんなそれぞれの聴き方で楽しめるように、間口が広くなったらいいなっていうのはいつも考えてるところですね。ファッションとか絵画を見た時に引き起こされるような感情と同じように、耳で聞いた時に景色とか匂いとか感触とか、そういう感情が引き起こされて、そこで初めて音楽が成り立つと思ってて。聴いてっていう感じよりは、それによって引き起こされる感情を大事にしたい。意気込んで音楽を聴くぞ!っていう身体にならなくても、自然と浸透していくようものとして受け取られたらいいなって思います」

──ところで、Reiさんは巧みなギター・プレイを中心としたライブも魅力です。以前ステージを拝見した時も、アコースティックギターをまるでパーカッションのようにかき鳴らしながら、言葉が転がっていくように歌っていく圧倒的なパフォーマンスが印象的でした。

「私が意識してるのは、ギターをギターとして弾かないっていうこと。これまで作り上げられてきた奏法からもいいところを受け継ぎながら、この楽器のもっとカッコいい鳴らし方はなんだろう?って、常に考えています。ギターには、まだまだ新しい表現があるんじゃないかと思います」


“Rei『UNO』”

Rei
『UNO』

(SPACE SHOWER MUSIC)


Rei official website
http://guitarei.com/


Live Schedule
Reiny Friday -Rei & Friends- Vol.4

11月13日(金)東京・渋谷 7th Floor
w/住岡梨奈、片山タカズミ(Dr)

Rei Release Live「UNO」
2016年1月29日(金)東京・渋谷 TSUTAYA O-nest

Others
11月14日(土)台湾・Fujin Tree 352 Home
11月18日(水)東京・渋谷 TSUTAYA O-nest(招待制)
w/Anly、NakamuraEmi
11月22日(日)東京・池袋 タワーレコード池袋店(インストアライブ)
11月26日(木)兵庫・神戸 タワーレコード神戸店(インストアライブ)
11月27日(金)大阪・神戸 タワーレコード難波店(インストアライブ)
11月28日(土)東京・渋谷 タワーレコード渋谷店(インストアライブ)
12月6日(日)東京・新宿 タワーレコード新宿店(インストアライブ)

詳細は Rei official website をご参照ください。

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