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10月のナンバーワンアルバム⑦〜トニー・ベネット/ミートローフほか

2018.10.03

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「TAP the COLOR」連載第291回〜BLUE〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。10月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ミートローフ『Bat Out of Hell II: Back into Hell』(1993)
ジャケット下に「Songs by Jim Steinman」とクレジットがあるように、ジム・スタインマンのドラマチックな楽曲群が炸裂するミートローフの復活作(1週1位)。1977年のパート1は、同じくスタインマンの楽曲とトッド・ラングレンのプロデュースで世界で何と4300万枚以上のセールスを誇る。2006年にはパート3がリリースされた。印象的なイラストは漫画家リチャード・コーベン(パート1)、マイケル・ウィーラン(パート2)によるもの。ティーンエイジ・ロックオペラ永遠の名盤。スタインマンのドラマチック・バラードはハマると中毒性が高い。ボニー・タイラーの「Total Eclipse of the Heart」、エア・サプライの「Making Love Out of Nothing at All」、映画『ストリート・オブ・ファイヤー』の「Tonight Is What It Means to Be Young」、セリーヌ・ディオンの「It’s All Coming Back to Me Now」などが有名だ。


マドンナ『Music』(2000)
音楽をヒットチャートやセールスで語ることは野暮というか無理が生じるが、ポップミュージックに限っては例外だろう。特に女王マドンナはチャートだけで語れる数少ないアーティストの一人。まず1983年のデビューから放ったトップ10シングルは38曲(うちナンバーワンが12曲)。これはエルヴィスと並ぶ大記録で、単独トップ獲得も時間の問題。ちなみにトップ10アルバムも女性アーティストとしては2番目の21枚(うちナンバーワンは8枚)。マドンナのゼロ年代の幕開けだった本作もその一つ(1週1位)。
(こちらのデータも併せてお楽しみください)
トップ10シングル数ランキング1955-2017〜最多はあの世界的エンターテイナーの38曲!!


エリック・クラプトン『From the Cradle』(1994)
まさかの特大ベストセラーになったアンプラグド後に発売されたクラプトン初のブルーズ・アルバム。こちらも何と全米1位を獲得(1週)して300万枚以上を売ってしまった。クラプトンが愛したブルーズのカバーで構成。日本でも本作のヒットでブルーズの魅力に取り憑かれた次世代も少なくない。クラプトンはこの後、ロバート・ジョンソンのカバー・アルバムやB.B.キングとの共演盤など、70〜80年代には決してできなかったブルーズ・エヴァンジェリスト活動を極めていく。


トニー・ベネット『Duets II』(2011)
1994年にリリースしたアンプラグド・アルバムで、グラミー賞のアルバム・オブ・ジ・イヤーを受賞したトニー・ベネット。1950〜60年代に絶大な人気を誇った歌手だが、これを機に再評価が高まり、若い世代にもアプローチすることに成功。トラディショナル・ポップの魅力を伝え続けるレジェンド・オブ・レジェンド。本作は好評のデュエット企画の続編(1週1位)で、エイミー・ワインハウス、レディー・ガガ、ノラ・ジョーンズ、シェリル・クロウ、マライア・キャリー、そしてウィリー・ネルソンやアレサ・フランクリンと歌を楽しむ。


【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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