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「TAP the COLOR」連載第365回〜SILVER〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。7月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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マイケル・ジャクソン『HIStory: Past, Present and Future, Book I』(1995)
1979年の『Off the Wall』から1991年の『Dangerous』までの既存のヒット曲と新曲で構成した2枚組(2週1位)。新曲サイドからは妹ジャネットと共演した「Scream」、最後のナンバーワン・ヒット「You Are Not Alone」(ソングライターはR・ケリー)、マイケルらしい力強いナンバー「They Don’t Care About Us」などどを収録。この後、R&Bシーンはヒップホップ勢をはじめとした世代交代が一気に進み、マイケルの時代は終わりを告げる。
ビヨンセ『Dangerously in Love』(2003)
デスティニーズ・チャイルド活動休止中にリリースされたビヨンセのファースト・アルバム(1週1位)。世界で1000万枚上を売り上げた彼女最大のヒット作でもある。後に夫となるジェイ・Zをfeatしたタイトル曲やショーン・ポールをfeatした「Baby Boy」がナンバーワン・ヒットを記録。ちなみに今までリリースした6枚のアルバムはすべてチャートのトップに立っている。ゼロ年代以降、スーパースターかつ超一級のエンターテイナーとして君臨し続ける。
シーア『1000 Forms of Fear』(2014)
2019年のフジロックでヘッドライナーとして初来日公演が決まったシーア。ソロとしてすでに20年以上のキャリアがある。顔を見せないアーティストがどんなパフォーマンスを披露してくれるのか、今から楽しみだ。本作はオーストラリア出身の彼女の名が世界中に知れ渡った話題作(1週1位)。動画でも大ヒットした「Chandelier」を収録。踊っているのはアメリカのダンサー、マディー・ジーグラー。
R・ケリー『TP.3 Reloaded』(2005)
1990年代前半から人気を維持し続けるR&B界のスーパースター。総合ポップチャートでは10曲以上のトップ10ヒット(うちナンバーワン・ヒット2曲)、R&Bチャートに限ってはfeat.を含めると40曲近いトップ10ヒットを持つ。本作は10枚目のアルバム(1週1位)。ロックファンには全くと言っていいほど縁がない人だが、ゼロ年代から現在までのR&B/ヒップホップシーンに与えた影響は大きい。
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