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音故知新⑤〜ジャズの源流を辿る旅

2023.08.01

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ジャズの起源・発祥については諸説あり、現在でもはっきりとは断定されていない。
一般的に多くの文献では19世紀末から20世紀初頭が起源とされており、アメリカ・ルイジアナ州のニューオーリンズを発祥地として南部の都市を中心に発展した音楽形式と記されている。
ニューオーリンズといえば、かつてスペインやフランスから移住した人々やクレオール(欧州系白人と黒人の混血)、そして奴隷制があった時代にアフリカから労働力として強制的に連行された人々など多種多様な人種が集まった港町で、新たな文化が生まれやすい土地だった。
20世紀初頭、アメリカでは過酷な労働を強いられた黒人労働者が怒りや苦悩、不満といった自らの感情を表現する手段として用いた音楽が労働歌=ブルースへと発展する。
これに加えて、ニューオーリンズでは“ストーリーヴィル”と呼ばれた歓楽街の酒場などで演奏されていた“ラグタイム”が人気を集め、アフリカ系の人々もトランペット、トロンボーン、クラリネットといった西洋楽器を使ったマーチングバンドによる街頭演奏を行うようになる。

■ラグタイムについては、こちらのコラムで詳しくご紹介してます♪
【The Entertainerを聴きながら〜“ラグタイムの王”と呼ばれたスコット・ジョプリンの偉大なる功績〜】
http://www.tapthepop.net/day/43484

当時、ニューイングランドからニューオリンズにかけてのすべての歌と旋律(賛美歌、民謡、黒人霊歌、ワークソング、ゴスペル、ブルース、ラグタイム)が混ざり合い発展・融合し“化学反応”を起こしていた。
南部地方では、これにアフリカの太鼓のリズムが織り込まれて「ジャズ(Jazz)」と呼ばれる音楽が誕生したのだ。
この太鼓のリズムこそがジャズを他の音楽と区別させる重要な特徴ともいわれている。
では、この「ジャズ(Jazz)」という言葉は、いつから使われるようになったのだろう?





──1913年、シカゴの人気者だったボードビリアン(軽演劇俳優)ジョー・フリスコがニューオーリンズでショーを開催したとき、トム・ブラウンというトロンボーン奏者が彼のバックバンドを務めるためにミュージシャンを集めた。
ジョーは、彼らの演奏のベースとされていたジャス・ミュージック(Jass Music)に感銘を受け、シカゴに帰って仲間や記者にその話をした。
この時、はじめて新聞に「Jass」という言葉が印刷されたという。
当時「ジャス(Jass)」という言葉は「セックス」をさすスラング(俗語)だった。
人々はニューオリンズの歓楽街(ストーリーヴィル)にあった売春宿のことを“ジャス・ハウス(Jass House)”と呼び、その界隈で演奏していたバンドのことを“ジャス・バンド(Jass Band)”と呼んでいた。
しだいにジャス(Jass)は「淫売屋の音楽」という軽蔑を含む言葉から「イケてる」「イカしている」というような意味に変化してゆく。
例えば酒場などでバンドが熱い演奏しているところへ、客が「Jass it up!(よーっ!スゴイぞ!)」と掛け声をかけたという話も残っている。
そんなジャス(Jass)がシカゴで使われるようになった時に、ニューオーリンズの“Jass”
と区別するためにJas→Jasz→Jazzと変化したのだという。
したがって「ジャズ(Jazz)」という言葉はシカゴで作られた言葉とも言われている。
「ジャズ(Jazz)」という名前の由来には、他にもたくさんの説がある。
例えば…ニューオリンズがフランス領だったことから、フランス語の「噂をする」「ぺちゃくちゃしゃべる」おしゃべり」といった意味の「ジャゼ(Jaser)」が語源で、変化して「Jass」になり「Jazz」になったという説などなど、その真相は謎のままである。





20世紀になってニューオーリンズから世界に羽ばたいたミュージシャンの代表格といえば“サッチモ”の愛称で親しまれたルイ・アームストロング(トランペット奏者・歌手)だろう。
他にもジャズの礎を築いた人物といえば“最初のジャズ・ミュージシャン”として名高いバディ・ホールデン(コルネット奏者)や、“サッチモの師匠”ともいわれているキング・オリヴァー(コルネット奏者)、そして19世紀の終わりにスコット・ジョプリンが生み出した“ラグタイム”をジャズに発展させたといわれるピアニストのジェリー・ロール・モートンなどがいる。
彼らの活躍が注目を集める中、ジャズ界で最初の商業用レコーディングも行われた。
1917年2月にニューオーリンズ出身の白人ジャズ・バンド、オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(Original Dixieland Jass Band ※略称O.D.J.B.)が「Dixie Jass Band One Step」「Livery Stable Blues」の2曲を録音しリリースする。
これがミリオンセラーとなりジャズが“新しい音楽スタイル”として世界中に知れ渡ってゆくこととなった。



ジャズはブルーノートという音階を用いたメロディ、シンコペーションの効いたリズム、スウィング感覚、コール&レスポンス(呼びかけ応答)などの要素が特徴とされている。
また楽譜を基本とするクラシック音楽とは違い、即興(アドリブ)で奏でるところにもジャズの魅力・躍動感があるといわれている。
1920年代頃までのジャズはブラスバンドによる集団即興演奏を特徴とし「ニューオリンズ・ジャズ」あるいは「ディキシーランド・ジャズ」などと呼ばれていたが、のちにソロで即興演奏するパートを挿入するスタイルへと変化し、30年代のスウィング、40年代のビーバップ〜モダンジャズなど、時代を経るごとにスタイルの幅を広げてゆく。







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